[ITmedia Mobile] ドコモが業績予想を上方修正 好調な「ドコモ MAX」と「料金値上げ」の勝算、残るネットワークの課題とは
11月4日に発表されたNTTやドコモの決算説明会で、12月1日に実施される料金値上げの影響見込みが明らかになった。ドコモは、12月1日に既存の料金プランを最大550円値上げする他、ahamoのデータ容量を増やして段階制に改め、料金を165円値上げする。小容量の料金プランとして、「ドコモmini2」も導入する予定だ。
こうした値上げに加え、現行料金プランの「ドコモ MAX」が好調にユーザーを獲得していることから、ドコモは通期の業績予想を上方修正した格好だ。一方で、収益が増えた分、ネットワーク改善に対する投資を増やし、5Gの基地局増設や5G SA化を加速させていく。その方針を代表取締役社長の前田義晃氏が語った。
ドコモ MAXの好調で増収増益を果たしたドコモ。値上げもあり、業績予想を上方修正した
ドコモ MAX好調でARPU上昇、値上げで上方修正も
12月1日から値上げに踏み切るドコモだが、その直前である第2四半期(7月から9月)に、業績が好転し始めている。理由として挙げられているのが、ドコモ MAXが好調なことだ。第2四半期時点で契約者数は469万に達しており、10月27日には2026年度の目標だった500万を突破。通期の目標を、600万契約に上方修正することも合わせて発表した。
ドコモ MAXには、DAZN、Lemino、dアニメストア、NBA ドコモの4つから、毎月2つまで無料でサービスを利用できる特典が付く。無料で使うサービスはユーザーが月ごとに選択可能だ。こうしたお得感が評価された結果、「選べる特典の申し込み数は(契約数469万時点で)589万件になった」(前田氏)といい、サービスが実際に利用されていることがうかがえる。
上期の業績が好調に推移しているのは、ドコモ MAXの契約者が想定以上に伸びていることが大きい。年度末までの獲得目標も、600万に上方修正した
ドコモ MAXは、料金がその他のプランよりも高いため、契約者が増えれば「ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の上昇につながる」(同)。実際、1年前の2025年度第2四半期には3960円だったARPUが、2026年度第2四半期には4040円まで上がり、2023年度の4000円を上回るまで回復した。ドコモ MAXの契約が想定より早く増えているため、ARPUの通期予想も4010円から4040円に上方修正している。
値上げ実施前にもかかわらず、ドコモ MAX効果でARPUは前年同期から80円上昇。通期予想も4040円に設定している
モバイル通信サービス収入は、前年度同期から46億円減少しているため、完全復活には至っていないものの、反転傾向が明確になってきたのも事実だ。さらに、12月1日には、上記のように値上げを実施する。今回の値上げは、新規受付を終了した過去の料金プランも含んでおり、その影響は大きい。
前田氏は「始めてみないと分からないところがある」としつつも、「来年1年間、通年で増収効果が現れるが、それが数百億円台」と語った。こうした増収効果は、12月を含む第3四半期以降の業績にも「一部はもともと織り込んでいた」(同)ものの、それを上回る効果もあるようだ。その結果、「足元の業績が好調なことに料金見直しが相まって、(通期の業績予想として)200億円の増収増益」(同)の上方修正を打ち出した。
好調なドコモ MAXに加え、ahamoや既存料金プランの値上げを行うことで収益、利益ともに上昇。業績予想も、それぞれ200億円積み増している
既存プラン値上げには厳しい意見も、ahamo改定には手応え
料金値上げについては、「既存プランがかなりの値上げになるので、厳しいお声もいただいている」(同)という。eximoやギガホなど、データ容量が無制限になる過去の料金プランは、550円の値上げになるため、ここについてはユーザーからの評価は芳しくないようだ。
一方で、データ容量を10GB上げつつ、値上げ幅も165円にとどめて段階制を導入するahamoについては、「シンプルさを一定保ちながら利便性を上げているという声がある」として、好意的な反響があるという。
ahamoは、値上げを実施する一方で、その上げ幅が小さい。段階制を取って使い勝手が上がることで、評価もされているという
また、「みんなドコモ割」を導入し、割引適用後の料金は現行の「ドコモ mini」よりも安く、データ容量も増えるドコモ mini2も、「家族を意識した割引をご評価いただけているし、チャネル(ドコモショップなどの販売店)からもそういった声をいただいている」(同)という。前田氏は、こうした料金プランを「訴求できるように進めていきたい」と話す。
ドコモ mini2は、家族での割引を追加したことでユーザーはもちろん、販売店からの評価も高まった
ドコモは、顧客基盤を強化するため、MNPでの獲得を重視している。いくらARPUが上がるからといって、ドコモから転出してしまうユーザーが増えてしまえば、値上げは本末転倒だ。中でも重要なのが、「新規契約の半分以上」(同)が契約するahamoだ。値上げの幅を抑え、より利便性向上に重きを置いた改正をするのは、そのためだ。
携帯電話の契約者数自体は法人の音声通話対応モジュールに大きな解約があったり、死亡解約があったりして純減が続いているが、MNPでは4四半期連続でプラスをキープ。これは、前田体制の下で「営業力自体の強化を図ってきた」(同)成果だ。前田氏は「お金をかければ一定数取れる話ではあるが、お金をかけるだけでなく、施策の工夫やどこでどう展開するかも含めてレベルが上がっている」(同)と自信をのぞかせた。
顧客基盤強化として、MNPを重視するドコモ。その原動力になっている料金プランがahamoだ
12月1日以降の値上げされた料金で、この競争力を維持できるかどうかは1つの焦点になる。ahamoやドコモ mini2といった、現行の料金プランは値上げ幅を抑えるか、場合によっては値下げになるため、獲得自体が減少してしまうことはないだろう。逆に、大きく値上げになる既存の料金プランを使うユーザーを、いかに他社に取られず、新料金プランに移行させていくかも重要になりそうだ。
既存の料金プランも値上げする。特に割高感が高まり、他社の草刈り場になりやすいギガライトなどのユーザーをどう移行させていくかが重要になりそうだ
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