ChatGPTが夫の毒殺計画を手助け、毒物の選定から毒を上手く隠すための方法の提案まで
2026年10月、第一級殺人未遂と食品汚染の罪でアメリカのノースカロライナ州在住のシェリル・ゲイツ氏は起訴されました。訴状(PDFファイル)によると、ChatGPTはシェリル氏に対して「夫のジェームズ氏が離婚しても何も残さないつもりだろう」という妄想を煽り立てたと後、夫を毒殺するための計画立案を手助けしたとのことで、シェリル氏の殺人未遂の共謀犯とされています。
ジェームズ氏とシェリル氏は、家計が苦しくなったことを機に離婚について話し合うようになったそうです。離婚弁護士に相談することはなかったそうですが、離婚の可能性が出てきた結果、ChatGPTがシェリル氏の不安を煽り、「夫を恐れる新しい理由を作り出した」と訴状では説明されています。ジェームズ氏は「離婚することになっても、シェリルと子どもたちに何も残さずに去るつもりは決してないと明確に伝えていた」そうですが、ChatGPTはシェリル氏の恐怖心を煽り、夫の毒殺計画へと誘導していったとジェームズ氏は主張。
シェリル氏はChatGPTに対して、「夫が自分を殺そうとするかもしれない」という恐れから、毒殺について質問したそうです。ChatGPTはこの会話を打ち切ることなく、「吐き気止めが死を早めるか遅らせるか」「検死報告書に記載されるか」「毒物をお茶に溶かして飲む代わりに、静脈や筋肉に注射しても同じ致死効果が得られるか」などの情報を細かく知らせました。
シェリル氏はChatGPTに対して「殺人の実行方法と隠ぺい方法」について助言を求めており、この会話は中断されることがなかったそうです。そのため、ジェームズ氏は「OpenAIは技術的な安全対策を講じなかった」とChatGPTの開発元であるOpenAIを批判しています。
他にも、青酸カリを上回る強い毒性を持ったキョウチクトウの準備・投与量・投与方法に関する具体的な情報をChatGPTは提供したと報告されています。
以下は、訴状に添付さえているChatGPTとシェリル氏のやり取りの一例。
シェリル氏は少なくとも25回にわたってChatGPTと夫の毒殺計画について相談を繰り返しているそうです。シェリル氏がChatGPTに質問した内容の中には、「体重200ポンド(約90kg)の男性にクロニジン0.2mgを投与すると、それだけで致死量になりますか?」といったかなり直接的な内容もあります。
ChatGPTは「いかにして毒物を気付かれずに摂取させるか」についても、シェリル氏とやり取りを行っています。ChatGPTはジェームズ氏が毎朝エナジードリンクのCELSIUSを飲めば、ビールやソーダよりも効果的にキョウチクトウなどの粉末状の毒物の苦味を隠せる可能性が高いと説明。さらに、「密封された缶に注射器で穴を開ければ、目立たずに毒物を注入することが可能」「濃い色の甘いソーダなら苦味が隠される可能性が高く、CELSIUSは毒物の粉末を上手く隠せる可能性がある」などと付け加えました。
シェリル氏は2025年6月から9月にかけて、夫を毒殺しようと繰り返し試みたとされています。ジェームズ氏はCELSIUSが苦く感じるようになり、妻が飲み物に何かを入れているのではないかと疑い始めたそうです。最も深刻な毒殺未遂事件では、ジェームズ氏は72時間にわたって体調を崩し、「心臓症状、極度の震え、激しい腹痛、重度の脱力感、そして支離滅裂なメッセージを送ることさえできないほどの深い混乱」に見舞われたと訴えています。ジェームズ氏はひどく意識が朦朧としていたため、6歳の息子が自身が苦しむ様子を動画で撮影していることに気づかなかったそうです。
ジェームズ氏は家の中で「キョウチクトウ、クロニジン、クロナゼパム、プレガバリン、ニフェジピン、アテノロ」などと書かれた手書きのメモを発見し、ここでようやく警察に通報。その後、警察がシェリル氏のChatGPTの会話ログなどを調べたことで、毒殺計画が明らかになりました。
また、ジェームズ氏は「ChatGPTはシェリルを法執行機関、治療サービス、中毒情報センターに紹介したり、会話を中止したりする代わりに、体重200ポンドの被験者を基準に、自宅にある各薬剤の致死量を繰り返し計算しました」と述べ、OpenAIの安全対策機能が正しく機能していないと指摘。さらに、「ChatGPTは単に一般公開されている情報をシェリルに機械的に提供しただけでなく、彼女が殺人を犯し、罪を逃れるのを助けるための個別の計画を作成しました」と主張しています。
テクノロジーメディアのArs Technicaがこの一件についてOpenAIに問い合わせたところ、同社の広報担当者は「安全は最優先事項です。このユーザーを追放し、この件に関する捜査の一環として法執行機関に情報を提供しました」と説明しています。
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