AIは本当に長期金利を押し上げるのか。カギを握るのは、生産性上昇が恒久的か一時的かという見極めにくい論点だ | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン

9月16日にFRB(米連邦準備制度理事会)で2023年以来となる0.25%の利上げを決めたウォーシュ議長(写真:Getty Images)
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森田 長太郎 オールニッポン・アセットマネジメント執行役員/チーフストラテジスト、ウォールズ&ブリッジ代表
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グローバルな半導体株の動向を示すSOX(フィラデルフィア半導体株指数)が10月中旬に一時ピークから10%以上下落した。きっかけは、アメリカのAI関連企業の社債価格の大幅下落(金利上昇)だったといわれる。特徴的だったのは、株式、社債の動きと並行して米国債金利がわずかな期間に0.3ポイントもの急低下を見せたことである。
債券市場での資金逼迫懸念は過大
アメリカでは、GDP(国内総生産)比で6%近くに達する政府の財政赤字=国債とAI関連企業の資金需要とが限られた市場の資金を奪い合う「クラウディングアウト」を懸念する声が出ていた。しかし、一部企業の信用懸念だけでこれほど急激に国債金利が低下する状況は、国債投資のための潜在的な余裕資金が市場にはまだ相当量残存していることを示している。債券市場全体での資金逼迫という懸念はおそらく過大なものだ。
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その意味で、AI関連投資のための膨大な資金需要がアメリカで長期金利の上昇を促しているという説明も、やや行き過ぎた議論だといえよう。「AIと長期金利」に関する議論は、より複雑な要素を含んでいる。論点は主に3つで、1つは、すでに述べた「AI投資需要による長期金利上昇」。2つ目は「AI投資による景気過熱とインフレの問題」。そして3つ目が「AIをめぐる生産性と自然利子率の問題」である。
2つ目の論点に関しては、9月から利上げを再開したFRB(米連邦準備制度理事会)が、原油価格上昇とともに、AI投資の活発化が需要面から経済全体へのインフレ圧力を高めることを警戒している。9月下旬以降に米国債金利が水準を切り上げたきっかけも、9月の製造業PMI(購買担当者景気指数)が経済成長の加速を示唆したことであった。
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もりた ちょうたろうChotaro Morita
慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券、SMBC日興証券などで30年以上にわたりマクロ経済、金融・財政政策、債券需給などを分析し、2023年10月から現職。グローバル経済、財政政策、金融政策の分析などマクロ的アプローチを行うことに特色がある。機関投資家から高い評価を得ている。著書に『日本のソブリンリスク 国債デフォルトリスクと投資戦略』(東洋経済新報社・共著、2011年)、『国債リスク 金利が上昇するとき』(東洋経済新報社、2014年)。
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