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Tuesday, October 13, 2026

[ITmedia ビジネスオンライン] 「AI投資の4割が頓挫する」現実 ツールを増やすほど顧客が逃げる“体験破壊”はなぜ起きる?

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 米調査会社Gartner(ガートナー)の未来予測は、AI投資の盲点を突き付けている。同社が、AIエージェントプロジェクトが中止してしまう理由に挙げたのは、コストの高騰、ビジネス価値の不明確さ、リスク管理の不備の3点だ。つまりAIエージェントを導入しただけでは、成果は約束されないことを意味する。

 特に顧客向けのビジネス現場では、チャットボットや自動化ツールを「後付け」で増やせば増やすほど、システム間で情報が寸断されてしまう。そして窓口が変わるたびに顧客へ同じ説明を強いてしまい、顧客体験を自ら破壊する「AIパラドックス」が多発することになるのだ。

 コンタクトセンター向けクラウドを手掛ける米Genesysのトニー・ベイツ会長兼CEOは、この泥沼の本質を「AI技術の限界ではなく、人間を前提に作られた経営の仕組み(KPI)の限界だ」と指摘する。

 AIを使いこなすには、従来のKPI(評価指標)をどう見直し、それに対しAIをどう適応させ、どこまで任せるべきなのか。米ラスベガスで開催された「Xperience 2026」の現地取材から、失敗するAIプロジェクトの40%を回避し、AIを利益に変える「経営の処方箋」をレポートする。

米Genesysのトニー・ベイツ会長兼CEO(以下撮影:河嶌太郎)

ツールを増やすほど顧客が離れる AI時代の「体験破壊パラドックス」

 Genesysのクラウド基盤「Genesys Cloud」は7500社超が利用し、音声やチャットを通じて年間330億件超の顧客との会話を処理している。顧客対応の現場では、自律的に判断して業務を実行するAIエージェントの導入が進む。

 Xperience 2026の基調講演では、ベイツCEOら幹部が、AIエージェントと人間の従業員、社内の業務システムを連携させて顧客対応を動かす構想を示した。

 一方、製品部門を統括するマイク・スラージ上級副社長は「企業のAI活用が『パラドックス』に直面している」と指摘する。この1年でAIは実験段階を終え、カスタマーサービスから営業、オペレーションへと広がった。顧客対応の領域だけでも、自律型のAIエージェントからオペレーターを支える業務支援AI(Copilot)、自動化ツールに至るまで、企業が抱え込むAI施策は数十に及ぶことも珍しくないという。

 もちろん個々のAI施策は、それぞれの単体では役に立つ。しかし顧客から見れば、チャットのAI、電話のAI、人間の担当者とのやりとりは、一つの用件を巡る一続きの対応だ。AI同士で情報が共有されていなければ、窓口が変わるたびに話が途切れてしまう。

 スラージ上級副社長は「AIシステム間でコンテキスト(会話の文脈)が失われるたび、AIから人へ仕事が引き継がれるたび、顧客が同じ説明を繰り返さなければならなくなる。そのたびに、顧客体験は壊れていく」と指摘した。

 顧客の企業に対する期待値も、変わってきている。ベイツCEOは「顧客が企業を比べる相手は、もはや同業他社だけではありません。日常で使うパーソナルAIと比べる時代になりました」と話す。

 「AIは利用者の予定や好みを記憶し、意図をくみ取って手助けしてくれます。企業も購買履歴や問い合わせ履歴、アンケートなど膨大な顧客データを持っていますが、多くの場合、それは複数のシステムに散らばったままです。顧客からすれば『自分が使うAIはこれほど自分を理解しているのに、なぜ企業は理解できないのか』という話になります」

 Genesysが示す解決策は、AIを減らすことではない。AIエージェント、従業員、業務システムを、顧客に関する共通の情報の上で連携させる「オーケストレーション」だ。スラージ上級副社長は「今後10年をリードするのは、単により多くのAIを導入する企業ではありません。AIをつなぎ、協調させられる企業です」と指摘した。

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