[ITmedia ビジネスオンライン] 50代「まだまだやれるのに」 給料はダウン、上司は年下……役職定年廃止は進むのか?
ある年齢(多くは50代後半)になると、部長や課長といった肩書が外れ、年下の上司の下に配置されるか、部下のいないシニア社員となり、給与も大幅にダウン……。こんな「役職定年制度」は、能力面でも健康面でも「まだまだやれる」と自負するベテラン社員にとって、あまりに理不尽だと感じられるだろう。
大企業を中心に、この役職定年制度を廃止する動きがある。厚生労働省も後押ししており、2024年9月に公開した「高齢者の活躍に取り組む企業の事例」の14社のうち、11社は役職定年を廃止または一部廃止した企業、2社はもともと役職定年のない企業である(厚生労働省「高齢者の活躍に取り組む企業の事例を公表します」)。
まだまだ活躍し、稼ぎたいミドル・シニア社員にとっては朗報である一方、企業の人件費や人事戦略に与える影響も大きい。それでも役職定年を見直す企業が出てきているのはなぜなのか。その背景と、企業が打つべき手、ビジネスパーソンが考えておくべき50代以降のキャリア戦略について解説する。
役職定年制度を廃止する企業が増えている(画像提供:ゲッティイメージズ)
「役職定年制度」とは何だったのか
役職定年とは、定められた年齢で役職を退任するという人事制度だ。役職によらず一律の年齢を設定する企業もあれば「部長級は57歳、課長級は55歳で役職定年」など役職によって異なる企業もある。
役職定年になると、単に肩書がなくなるだけでなく、仕事の内容や給与なども変わる。
人事院の「民間企業の勤務条件制度 令和7年調査結果」によると、役職定年後の配置先は部長級、課長級ともに「同格のスタッフ職」とする企業の割合が最も高い(部長級で43.1%、課長級で42.9%)。次いで割合が高いのが「格下のスタッフ職」だ(部長級で32.9%、課長級で33.9%)。
会社によっては、役職定年の前後で賃金水準が変わらないように調整するところもあるが、多くの場合は年収が下がる。役職定年前の7~8割の水準に引き下げられるところが多いようだ。
このような制度が多くの企業で導入された背景には、年金支給開始年齢の引き上げと定年年齢の延長をセットで進める政策があった。戦後から高度経済成長期にかけては定年年齢を55歳とする企業が多かったが、1986年に高年齢者雇用安定法が制定され、1994年の改正では60歳未満の定年を禁止する規定が入った。
55歳になれば会社を去っていくはずだった人たちがあと5年は会社に残るとなると、人件費の増大や若手が昇進するチャンスが減るという問題が生じる。そこで多くの会社が取った解決策が、役職定年制度の導入だったのである。
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