「一帯一路」プロジェクトに被害 土石流災害、貿易路を直撃―中国
土石流が迫る様子を捉えた監視カメラ映像=8月26日、中国チベット自治区吉隆県(AFP時事)
【北京時事】ネパールと中国の国境地帯で起きた土石流災害は、両国を結ぶ主要な貿易ルートを直撃した。現場となった国境付近のインフラ整備は、習近平政権が進める巨大経済圏構想「一帯一路」のプロジェクトの一つ。だが、中国側施設や道路は壊滅的な被害を受けており、本格的な捜索活動にも至っていない状況だ。
各国、救助隊・資金拠出で支援 メディアは連日報道―ネパール・中国土石流
インドと国境紛争を抱える中国は、ネパールを南アジアへの窓口として重視。隣接するチベット自治区の経済発展につなげる思惑もあり、ネパールと共に陸路での貿易拡大を進めてきた。
被害を受けた中国側の同自治区吉隆県の国境検問所は、地元メディアによると対外開放窓口として2014年に正式運用を開始した。ネパールが一帯一路に参加した17年には外国人にも開放され、22年には中国の国家レベルの国境経済協力区に昇格した。
だが、国境検問所のビルは一瞬で濁流にのまれ、国営中央テレビによると基礎の一部が残るだけだ。15年のネパール大地震で被害を受けた別の国境施設の全面復旧には8年を要しており、今回も正常化には相当な時間がかかるとみられる。
両国には吉隆を経由しチベット自治区の区都ラサとネパールの首都カトマンズを結ぶ鉄道の建設計画もあるが、その実現可能性にも疑問符が付きそうだ。
習政権は「ネパールと共に困難を乗り越える」(郭嘉昆・外務省副報道局長)と救援物資や専門家を送りネパールを支援する一方、国内ではチベット自治区が不安定化しないか神経をとがらせているもようだ。外国メディアは普段から同自治区への立ち入りが厳しく制限されており、今回も現場入りできない。中国メディアの現地からの報道は当局による捜索活動が中心で、地元住民の声などはほとんど伝えていない。
中国のSNSでは、検問所が土石流に巻き込まれる動画も見ることができない。当局は「中国で3000人以上が死亡した」といったSNSの書き込みをデマとして摘発に乗り出すなど、言論統制を強めている。
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