[ITmedia ビジネスオンライン] あえて「経済圏を持たない」Vポイント、Olive連携を武器にどう戦う? 社長が語る
5大共通ポイントの中でも長い歴史を持ち、広く知られる旧Tポイントは、2024年の統合でVポイントへと名前を変えた。専用の決済アプリ(VポイントPayアプリ)にチャージすればVisa加盟店でも使えるようになったが、2つのアプリを使う手間が、その利便性を生かすうえで課題となっている。
同社は2026年度中に、VポイントアプリとVポイントPayアプリの統合を予定している。アプリ統合で何を変えるのか。Vポイントマーケティングに聞いた。
別々のアプリで“分かりにくい”状態 統合で使いやすさ追求へ
「Vポイントは使える場所が少ない」──利用者からよく聞く声だ。だが実は、VポイントPayアプリにチャージすれば、ポイントの提携先以外のVisa加盟店でも支払いに使える。2025年10月の公表値では、国内約16万店舗のVポイント提携先に加え、世界約1億店舗のVisa加盟店が利用先となる。ただし、対面ではVisaのタッチ決済に対応した店舗が対象だ。
Vポイントマーケティング社長の廣田精吾氏は、この使い道を十分に伝えきれていないことが課題だと話す。同社は共通ポイント「Vポイント」を運営し、提携先の開拓などを担う。廣田氏によれば、すでにアプリを使っている会員からは「なぜみんな使わないんだろう?」という声も聞かれるという。
使い方が分かりにくい背景には、Vポイントマーケティングの「Vポイントアプリ」と、三井住友カードの「VポイントPayアプリ」を別々に運営していることがある。前者を利用する会員がVisa加盟店でポイントを使うには、後者へのチャージが必要になる。
「2つの会社が1つのサービスのアプリを提供している状態で、お客さまにとって分かりづらい」
「アプリの使い勝手の問題と、(お客さまに)認知・想起してもらう部分が足りていない」(廣田氏)
この分かりづらさを解消するため、今後アプリの統合を計画している。ただし、開発の難度は高く、品質の確認にも一定の時間を要するという。
各社のポイントサービスが独自の経済圏による“囲い込み”を強化する一方で、Vポイントは別の戦略を取ってきた。Visa加盟店で広く使えるようにしたのは、Vポイントの名前にも込めた狙いだ。廣田氏によると「V」はVisaの頭文字から取った。
「経済圏はあまり持たない方がいい。オープンにして、極力広い範囲でポイントが流通するようにした方がいい」。旧Tポイントにも世界へ広げたいという思いがあり、その方向性を引き継いだという。
「TからVへ」 Oliveから加わる新しい会員、社長が語る手応え
Vポイントマーケティングは2026年3月に三井住友カードの子会社となり、4月に現在の社名へ変わったが、会員基盤には旧Tポイントの利用者が多く残る。統合時の2024年4月に公表された旧Tポイントの会員規模は約1.3億ID、旧Vポイントとの重複を省くと8600万人規模となる。そこに、SMBCグループの個人向け総合金融サービス「Olive」を通じた利用者が加わっている。
野村総合研究所が2025年12月に実施した「決済・ポイント実態調査」によると、Vポイントは、2024年度の新規メイン獲得者の割合が5大共通ポイントの中で最も高かった。ただし、こうしてVポイントをメインに選んだ人が、翌年もメインとして使い続ける「1年定着率」は最も低い。
Vポイントは、新しくメインカードに選んだ人の割合が5大共通ポイントで最も高い。一方、その人たちが翌年もメインで使い続ける割合は最も低い(出典:野村総合研究所「決済・ポイント実態調査」、2024年度から2025年度の変化)
会員の利用状況を尋ねると、廣田氏はまず、TからVへの移行について「いろいろ課題はあったものの、一定うまくいっている」という認識を示す。VポイントはTポイントからロゴや色合いなどを引き継ぎ、従来の利用習慣も残っている。
「このお店に行ったらこのカードを出す。Vを出すという習慣は、T時代にしっかりやってきたことが引き継がれている」(廣田氏)
旧Tポイントには、TSUTAYAのレンタルショップを日常的に利用する人たちがいた。レンタルショップの利用機会が減ることでポイントも使われなくなる動きは以前からあったが、廣田氏は、こうした会員の離脱は一定程度落ち着いたと見ている。
新たな支えとなるOliveは、2023年3月の開始から3年間でアカウント数が763万件に達した。Oliveのクレジット機能を使えばVポイントが貯まる。廣田氏によると、貯まるポイントや実際の利用状況から見ても、Olive経由の会員は中核的な利用者になってきているという。
「クレジットカードを使うので、自動的にVポイントがどんどん貯まっていく。ここのお客さまが離れていっている感覚はない」
もっとも、NRIの調査はメイン利用の継続を測ったもので、Olive経由の会員だけを示した結果ではない。廣田氏は、通信キャリア系のポイントが携帯電話を通じて利用者とつながり続けるように、同社が銀行やカードを通じた日常の接点を得たことに手ごたえを感じていると話す。
Vポイントを日常的に使う人は回答者の20%、たまに使う人は29%。会員であっても、日常的に利用するとは限らない(出典:野村総合研究所「決済・ポイント実態調査」、2025年12月調査、回答者8888人)
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.
