[ITmedia News] 斜めの屋根、三角形の家……なぜ「フシギな物件」は存在するのか
著者
加藤勤之
[ITmedia]
「なぜインターネットで本は買えるのに不動産は買えないの?」「マンションを借りる時に不動産屋のお兄さんが急いでFAXを送るのはなぜ?」。多くの人にとって「住まい」に当たる不動産は身近なはずなのに、なぜかよく分からないことだらけ。他の業界では常識なのに、不動産業界では非常識。そんな不動産の「ミステリー」を専門家がわかりやすく読み解き、AIをはじめITを活用した不動産の近未来を探る。
バブル経済の崩壊後、低迷してきた日本の不動産価格が反転上昇し、内外からの投資が盛り上がる中、海外の先進事例なども交えて将来の不動産業界や価格を分かりやすく展望する。第6回は「なぜフシギな物件や間取りがあるのか」を深掘りする。
著者プロフィール:加藤勤之
GA technologies
Public Relations 本部長 宅地建物取引士
2002年、東京工業大学理学部数学科卒、博報堂入社、外食、製菓、化粧品メーカーの営業に約10年従事、その後、労働組合委員長を経て、経営企画や新規事業開発、働き方改革部長などを務める。 2018年12月、総合不動産会社オープンハウス入社、マーケティング本部長、広報宣伝部長、社長室長、事業開発部長に従事、兼務で、スキー場を運営する子会社みなかみ宝台樹リゾート代表も務めた。
2023年11月、GA technologiesに入社、Communication Design Center本部長を経て、現在は、Public Relations本部長として、広報と渉外の責任者を務める。
お客様の要望から生まれた「変な間取り」
東京都で建築事務所を営む建築士の阿蘓俊博(あそ としひろ)氏は2015年、ある夫婦から新築物件の設計依頼を受けた。「家族みんながコミュニケーションを取りやすい家にしたい」という夫婦の要望をヒアリングした阿蘓氏は、2.5畳の子供部屋を2つ設ける案を提示した。2.5畳は約4平方メートル。子供が生活するにしても、かなり狭い。ベッドを入れれば、それでいっぱいになってしまう「変な間取り」だ。
阿蘓氏は間取りの意味を夫婦に提案した。「子供が自分の部屋に入り浸ってしまわないようにしたいんです」「空いたスペースは家族で過ごすリビングを広げるのに使いたい」。広く、インターネットやテレビ、オーディオが整備された子供部屋は一見、理想的だ。しかし、その「快適すぎる部屋」に閉じこもってしまう子供も少なくない。このお宅は17年に着工し、今も埼玉県に実在する。
注文住宅の場合、「奇妙な家」「変な間取り」と思われがちな家でも、住人にとっては合理的な選択だったことは少なくない。実際、阿蘓氏は車が趣味の人のために、車3台を一度に見られる空間を提案。その住宅は、車庫と両側に大きな窓の付いた三角形の間取りとなったという。
建築基準法や都市計画法などの壁
一方で「仕方なく変な家や間取りになった」というケースもある。斜めに切り立った屋根を持つ家、わざわざ段差や半地下をつくった家……。こうした物件の多くは、建築基準法や都市計画法など法律の壁にぶつかったケースだとみられる。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.