「フランスは燃えているか?」全土に広がる若者の怒りと抗議デモ、ゼネストへとつながった1968年「5月革命」の再来か | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン

2026年10月17日に行われたデモで、抗議者たちが機動隊と衝突した(写真:2026 Bloomberg Finance LP)
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ルネ・クレマン監督の映画に『パリは燃えているか』(1966年)という作品がある。これはパリ解放の際、ヒトラーが送ったという「パリをドイツ軍撤退前に消滅せよ」という命令についての物語である。
67年に私はとある映画館で偶然この作品を見た。映画より、パリの美しさにショックを受けた。最後のシーンで白黒だった映画が突然カラーになり、上空からパリを映しだすのだ。パリは燃え落ちなかったのだ。
パリ「5月革命」の残像
この映画を見た数カ月後、パリでは「5月革命」が起きた。パリ大学ナンテール校(パリ第10大学)の寮をめぐる問題がきっかけになって、5月にはゼネストが始まり、シャルル・ド・ゴール大統領(1890~1970年、在任59~69年)が翌年退陣するという事態を引き起こしたのである。
68年の騒ぎは、学生の抗議運動から起こった。学生の側から見れば、学生数の増大と大学の設備内容の貧弱さの問題に原因があった。今回、フランスで起きている暴動も同じである。日本の高校に当たるリセ(後期中等教育機関)の生徒数の増大と教師不足、1クラスの生徒数超過、設備の近代化の遅れである。彼らが不満をもつのは当然だ。
70年前後の日本の学生運動も、学生数の増加と貧困な設備と教育内容へのマニフェスト(抗議)が生み出した現象であった。ベトナム戦争反対などの政治的問題は後付けされたものだ。
68年の騒ぎが拡大したのは、フランス社会が当時抱えていた問題が学生の抗議に触発されたことだ。戦後の経済成長が止まり、構造変革の真っただ中であった。古びた機械設備を近代的オートメーションへ切り替えるという政策が、労働者の仕事を奪ったのだ。
だからセーブルのルノーの工場の労働者に飛び火し、フランス最大の自動車工場のあるプジョーのソショーに広がり、5月のゼネストを引き起こしたのである。
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まとば・あきひろAkihiro Matoba
1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。
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