「世界のCBSレコード」買収するもアメリカデビューに苦戦したソニー…切り開いたのは"マジック"と"ロジック" | ビジネス | 東洋経済オンライン

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四半世紀にわたる“受難の時”を経て復活を果たしたソニー。だが、かつての「エレキのソニー」と今の「エンタメのソニー」とではまるで別の会社だ。神話に彩られたカリスマ創業世代なきあと、普通の「人々」はいかにエンタメのソニーを築き上げたのか。その転換点に迫る群像劇。
四半世紀にわたる“受難の時”を経て復活を果たしたソニー。だが、かつての「エレキのソニー」と今の「エンタメのソニー」とではまるで別の会社だ。神話に彩られたカリスマ創業世代なきあと、普通の「人々」はいかにエンタメのソニーを築き上げたのか。その転換点に迫る群像劇。
2026年9月28日に第1回が放送されたNHK連続テレビ小説『ブラッサム』。小説家の宇野千代を主人公のモデルにしたドラマの冒頭に流れる主題歌『咲き誇れ』を歌うのは、ソニーミュージック所属の人気ユニット、YOASOBIだ。
24年4月から9月まで放送されて大ヒットした『虎に翼』の主題歌『さよーならまたいつか!』を歌ったのはソニーミュージック所属の米津玄師。音楽やアニメなど、1つのコンテンツをテレビ、映画、CMなどで横断的に活用して相乗効果を狙う「メディアミックス」はソニーの古くからの十八番である。
1977年8月下旬、CBS・ソニーのプロデューサー、酒井政利は南太平洋の島国サモアにいた。バカンスではない。広告代理店の電通が「発想開発旅行」の名目で、広告、音楽、美術などの分野で日本を代表するクリエーター8人を連れ、15日間、南の島を巡る「勉強会」だ。その名も「南太平洋裸足の旅」。資生堂とワコールがスポンサーになった。
「ここはまるで時間が止まっているようだね」
68年のCBS・ソニー設立時に日本コロムビアから移籍した酒井は、南沙織、郷ひろみ、山口百恵を世に送り出し、「ヒットメーカー」の仲間入りをしていた。酒井のほかに招かれたのは、作詞家の阿久悠、版画家で作家の池田満寿夫、画家の横尾忠則、写真家の浅井慎平、評論家の平岡正明、京都大学教授の多田道太郎、イベントプロデューサーの小谷正一。当代一流の顔ぶれである。
スポンサーから個別の注文があったわけではない。各界で「天才」と呼ばれる人々が都会の喧噪を離れ、楽園のような島々で自然に触れながら、才能をぶつけ合う。そこから「新しい表現や発想を引き出そう」という、なんとも優雅で豪勢なプロジェクトだった。
真っ青なサモアの海を眺めながら、誰かが言った。
「ここはまるで時間が止まっているようだね」
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おおにし やすゆきYasuyuki Onishi
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)、『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』などがある。
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