AIが答えを教える代わりにあえて質問攻めにすることで開発者を鍛えるデバッグツール「Nietzschian Debugger」
プログラムの不具合をAIに相談すると修正方法を教えてくれるのが一般的ですが、あえて答えを教えずに質問を繰り返すデバッグツール「Nietzschian Debugger」がGitHubで公開されています。開発者自身に不具合の原因を考えさせることで問題解決能力を鍛えるという、AIへの依存を減らすことを目指したツールとなっています。
GitHub - DilawarShafiq/nietzschian-debugger: The anti-AI debugger. What doesn't kill your code makes it stronger. Confrontational questioning for developers. · GitHub
https://github.com/DilawarShafiq/nietzschian-debugger
ChatGPTなどの生成AIはプログラムのコードを自動生成するだけでなく、不具合を調査したり修正方法を提案したりできますが、AIが提示したコードをそのまま使い続けると開発者がコードの仕組みや不具合の原因を理解する機会が減ってしまうという懸念があります。
実際にAI開発企業のAnthropicが実施した調査では、AIによるコーディング支援を利用した開発者はAIを使わなかった開発者と比べて学習内容の理解度を測るテストの成績が低かったことが報告されています。
「AIに頼るとスキルが向上しない」という言説の実態をAnthropicが調査 - GIGAZINE
Nietzschian DebuggerはAIに頼りすぎることで開発者の問題解決能力が衰えるという考えから生まれたツールです。名前の由来はドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェで、開発者は「困難を乗り越えることで人は強くなる」というニーチェの思想になぞらえて、あえて開発者に苦労させる仕組みを採用しています。
使い方はシンプルで、開発者が不具合の内容を入力するとNietzschian Debuggerが質問を返します。例えば「一部のユーザーだけログイン時に403エラーが発生する」と相談すると、「一部のユーザーとは曖昧な表現だ。エラーが発生するユーザーと発生しないユーザーにはどんな違いがある?」と問いかけてきます。
開発者が「ランダムに発生しているように見える」と答えた場合は「ランダムという言葉は十分に調査していないときに使われる。サーバーのログには何が記録されている?」と追及します。
質問に従ってログを確認した結果、エラーが発生するユーザーの認証トークンが期限切れになっていると判明すると、今度は一部のユーザーだけでトークンが期限切れになる理由を質問。
開発者が「先週トークンの有効期限を変更した際に既存のログイン状態を無効化しなかった」と気付き、自力で原因にたどり着くという流れです。
質問の厳しさは3段階から選択できます。「socrates」は初心者向けで、ソクラテスのように穏やかな質問を通じて考えを整理するモード。「nietzsche」は標準モードで、開発者の思い込みや曖昧な説明を厳しく追及します。最も厳しい「zarathustra」は経験豊富な開発者向けで、根拠の弱い推論を容赦なく問い詰めるモードとなっています。
また、実際のソースコードを読み込んで質問する機能も備えており、ファイルのパスを指定するとコードの内容に沿ったやり取りが可能です。開発者がどの程度思い込みを検証できたか、根拠となる情報を集められたかなどを評価する機能も用意されています。対話履歴はローカルに保存されるため、過去の結果を振り返ることもできるとのこと。
なお、Nietzschian Debuggerは「アンチAI」を掲げていますが、質問の生成にはAnthropicのAIモデル「Claude」を利用しているため、動作にはAnthropicのAPIキーが必要です。
開発者は「ほかのツールは答えを与えるが、Nietzschian Debuggerは質問を突きつける」と説明しており、AIが答えを出す便利さよりも開発者自身が答えにたどり着く過程を重視していると述べています。
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