[ITmedia News] 「NTT」名乗る電話、転送先は“警察”――巧妙化するニセ警察詐欺、約4割が「本物だと思った」
著者
梅林日奈子
[ITmedia]
偽物の警察官による不審な電話を受けた人の約4割が、一時的にでも「本物だと思った」──。トビラシステムズ(愛知県名古屋市)は9月15日、「ニセ警察詐欺」に関する調査結果と実際の通話音声を公開した。被害者の9割超が手口を認識していたにもかかわらず、実際には警戒心が揺らいでいた。公開音声では、「NTTカスタマーセンター」を名乗る人物が携帯電話の不正契約を告げ、警察官を名乗る人物へ電話を転送する手口も確認された。
調査は8月24~25日、警察官を名乗る不審な電話を受けた経験がある全国の25~69歳の男女を対象にインターネットで実施し、360人から回答を得た。電話を受けた時点で、手口の内容まで知っていた人は65.0%、名前を聞いたことがあった人は27.8%で、計92.8%がニセ警察詐欺を認知していた。
出典:トビラシステムズが公開した「ニセ警察詐欺」の調査レポート
一方、「本物の警察官だと思った」「途中まで本物だと思っていた」と答えた人は計37.5%。20~30代では半数を超えたのに対し、40代以上では7割超が「最初から疑っていた」と回答し、若い年代ほど相手を信用しやすい傾向がみられた。
出典:トビラシステムズが公開した「ニセ警察詐欺」の調査レポート
出典:トビラシステムズが公開した「ニセ警察詐欺」の調査レポート
相手を信じた理由で最も多かったのは「事件・逮捕などと言われ動揺した」が57.8%。次いで「自分の氏名や住所などの個人情報を知っていた」54.1%、「話の内容がもっともらしかった」50.4%が続いた。同社は、犯人が事前に入手した個人情報を会話に織り交ぜ、複数の人物が登場する「劇場型」のシナリオを展開することで、なりすましの手口を巧妙化させていると指摘している。
電話を受けた際、「何も話さず切った」「途中で詐欺だと気付き切った」と答えた人は、それぞれ4割近くだった。一方、8.1%は「お金を振り込んだ・送金した」と回答。個人・資産情報を伝えたり、SNSやビデオ通話で接触を続けたりした人もおり、こうした行動は20~30代で多い傾向にあった。
出典:トビラシステムズが公開した「ニセ警察詐欺」の調査レポート
詐欺を疑った瞬間、恫喝――ニセ警察詐欺との実際の会話音声
同社は、実際のニセ警察詐欺の通話音声も公開した。このケースでは、自動音声の後に「NTTカスタマーセンター」を名乗る人物が応対し、名前と生年月日を確認。「ドコモショップ新潟南店」で本人名義の携帯電話が契約され、その番号から迷惑メールが送信されていると説明した。さらに、カードの紛失や迷惑メールの受信状況に加え、雑談を交えながら、在宅勤務中か、子どもが自宅にいるかなども聞き出した。
続いて、8桁の「公文書番号」をメモさせ、新潟中央警察署につなぐとして電話を転送。警察官を名乗る人物は、不正契約された携帯電話から投資詐欺や闇バイトの勧誘メールが送られ、被害が出ていると説明し、被害届を出さなければ現在使っている回線も止まる可能性があると不安をあおった。
電話を受けた人が川崎市在住だと伝えると、通話を録音して電話で被害届を受け付け、調書を作ると提案。その後、本人名義の悪用状況を照会するとして、運転免許証の番号を求めた。
電話を受けた人が「でもこれ詐欺ですよね。普通、NTTのカスタマーセンターから警察に転送されることってないじゃないですか」と指摘すると、相手は態度を一変。「そもそも詐欺っていう言葉自体の意味って分かりますか?」「私はお金の話しました?」などと反論し、最後には「業務妨害ってことで、川崎署の方に連絡する」「お子さんもかわいそうな目に遭います」と脅迫めいた言葉を口にした。
同社によると、2026年上半期のニセ警察詐欺の被害額は、前年同期比108億9000万円増の507億9000万円に上り、20代から80代以上まで幅広い世代で被害が発生している。同社は、不審な電話を受けた際はひとまず電話を切り、家族や警察などに相談するよう呼び掛けている。
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