[ITmedia ビジネスオンライン] 「退職代行バブル」崩壊、撤退相次ぐ 需要減を招いた「2つの誤算」
常に目標を達成させる「常勝集団」をつくるために、キラキラしたビジネスtipsは必要ない。組織マネジメントを専門とする横山信弘氏が、本質的なマネジメント論を「キレイごとナシ」で解説する。
著者プロフィール・横山信弘(よこやまのぶひろ)
企業の現場に入り、営業目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の考案者として知られる。15年間で3000回以上のセミナーや書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。現在YouTubeチャンネル「予材管理大学」が人気を博し、経営者、営業マネジャーが視聴する。『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、多くはアジアを中心に翻訳版が発売されている。
退職代行サービスの市場に異変が起きている。
帝国データバンクが発表した調査によると、2025年10月時点で実態が確認できた52事業者のうち、2026年9月までの約1年間でサービス停止の可能性があるという事業者は、14事業者に及ぶという。およそ4社に1社に当たる数だ。
新年度になるたび、新入社員の利用がニュースになるほど話題になり、退職時の選択肢の一つとして存在感を増していた業界だ。なぜ今、サービス停止が相次いでいるのか?
今回は、この退職代行サービスが生まれた背景から、淘汰(とうた)が始まった理由までを解説する。部下の退職に悩む経営者やマネジャーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
退職代行サービスの市場に陰りが見え始めている(提供:ゲッティイメージズ)
退職代行はなぜ生まれたのか 「辞めたくても辞められない」人を救う「防壁」
退職代行サービスが広がった背景には、辞めたくても辞められない人の存在がある。上司からハラスメントを受けている人、退職を申し出たのに強く引き留められている人、そもそも怖くて言い出せない人。そんな人たちにとって、退職代行は最後のとりでだった。
パーソル総合研究所の調査では、離職者の5.1%が退職代行を利用したと答えている。利用した理由として「上司への恐怖心があった」を挙げた人は28.8%に上った。
私は以前、退職代行を債務整理業者に例えたことがある。眉をひそめる人は多いが、追い詰められた人には欠かせない存在だからだ。つまり退職代行は「セーフティネット」だったのである。
1年で新規参入が急増 「最後のとりで」→「もうかる市場」に
退職代行サービスは、徐々に世間に知られるようになった。メディアで取り上げられ、SNSで拡散され、若い世代を中心に利用が広がっていった。
その影響もあり、退職代行市場に参入する事業者が増えた。東京商工リサーチによると、営業項目に退職代行を掲げる企業は弁護士法人を除いて56社あり、そのうち2025年に設立されたのは32社だ。半数以上が、わずか1年のあいだに参入したことが分かる。
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