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Saturday, October 3, 2026

社会主義の東ドイツで育った高齢者は西ドイツ育ちよりも認知機能が良好との研究結果

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両国は1990年に再統一され、単一の法制度と経済システムに統合されましたが、現代に至るまでさまざまな面で影響を及ぼしています。これまでの研究では、旧東ドイツ人は旧西ドイツ人に比べて身体的健康状態が悪く、平均寿命も短かったことが一貫して示されています。

今回、ドイツのコンスタンツ大学の研究チームは、東西ドイツの政治システムの違いが加齢に伴う脳の変化にどのような影響を与えるのかを調べました。東西ドイツで育った高齢者の認知機能については、「経済状況や栄養状態が良く市民の自由が多かった西ドイツ育ちの高齢者の方が認知機能が高い」「国費による教育制度が充実していた東ドイツ育ちの高齢者の方が認知機能が高い」という、相反する2つの仮説があるそうです。

西ドイツでは義務教育機関が8~9年間だったのに対し、東ドイツでは10年間とより長い義務教育が受けられました。また、東ドイツでは幼児保育が普遍的に提供され、学校制度における社会的分断も少なかったとのこと。幼少期からの教育経験は、加齢に伴う認知機能低下を補うcognitive reserve(認知予備能、認知予備力)を養うといわれています。

研究チームは1989年に東ドイツまたは西ドイツに居住していた5231人の高齢者を対象に調査を実施。被験者は平均で4年間にわたって複数回インタビューされたほか、脳の健康状態を評価し、認知症を予測するために用いられる即時記憶力・言語流暢性・方向感覚・数的処理能力という4つの標準的な検査も受けました。

分析では統計モデルを用いて被験者の認知機能の変化をマッピングしたほか、幼少期の健康状態・世帯収入・全体的な教育水準といった要因を考慮して調整したとのこと。また、幼少期に他の子どもたちと比較して数学や言語能力がどの程度だったのかや、幼少期に自宅にあった本の数などについてもアンケートで聞き取られたそうです。

分析の結果、ドイツ再統一以前に東ドイツに住んでいた人々は、4つの認知テストすべてで西ドイツ出身者よりも良い成績を収めました。また、加齢に伴う認知機能の低下速度も遅いことが確認されました。

通常、身体的な健康状態が悪く平均寿命が短い集団は認知機能の低下も速い傾向にあるため、この結果は異例だといえます。これは、平等主義的で集中的な教育制度による幼少期の恩恵が、低い生活水準に伴う身体的な負担の一部を相殺できることを示唆するものです。

ドイツ再統一を経験した時の年齢に着目したところ、即時記憶力と言語流暢性の差が最も大きかったのは、再統一時に40代だった被験者でした。方向感覚と数的処理能力に関しては、再統一時に20代だった被験者において差が大きくなりました。

一方で、ドイツ再統一時点ですでに定年退職年齢に近づいていた人々では、認知能力の差がほとんどみられませんでした。この結果は、若年期~中年期に再統一を経験した東ドイツ人は規模の大きな経済システムに組み込まれた環境下で、幼少期の教育の恩恵を最大限に享受できた可能性を示唆しています。

なお、東西ドイツは教育や経済以外にも多くの点で異なっており、たとえば西ドイツでは自動車の所有率がはるかに高かったため、ガソリンに含まれる鉛などの環境毒素にさらされる機会が多かったと考えられます。東ドイツは市民の中に秘密警察や密告者が存在したため、社会的な信頼に悪影響があったとみられます。今回の研究では、これらの社会的・環境的ストレスが与えた影響までは測定できていないとのことです。

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