[ITmedia PC USER] なぜ8GBメモリでもWindows 11が快適に動くようになるのか? Microsoftが取り組む最適化の仕組みと次期Windows「27H2」への展望
11月3日(米国時間)、米MicrosoftでWindows+Devices部門を統括するエグゼクティブバイスプレジデント(EVP)のパヴァン・ダヴルリ氏が「Raising the bar for 8 GB Windows 11 PCs: what’s improved and how to get it」と題したブログを投稿し、8GBメモリのPCでもWindows 11が快適に動作するよう、どのような最適化を施したのかを解説している。
今回は、メモリ容量の少ないPCにおける動作改善の概要と、最新バージョンのWindowsを取り巻く背景をまとめたい。
米MicrosoftでWindowsやデバイス部門を統括するパヴァン・ダヴルリ氏のブログ投稿
「8GBメモリでも快適」はこうして実現される
今回のブログは、基本的にダヴルリ氏が7月に投稿した内容に沿ったもので、具体的にどこを改良したのか、どのような仕組みで実現しているのかを詳しくまとめた形だ。
改善点はFeedback Hubに寄せられた声をベースに、テレメトリーを含むさまざまなデータを基に洗い出した。その上で、同社ラボにある2万台以上のPC(最新の8GBモデルを含む)で実際のワークロードを実行し、カメラを用いて時間を計測するテストを行ったという。
こうした過程を経て、次のようなパフォーマンス改善が実現している。
8GBメモリで応答性が20%向上 マルチタスク処理は40%高速化
これまで8GBメモリのPCでタスクマネージャーを開いたとき、メモリのほとんどが既に使用済みだったという経験があるかもしれない。空きメモリが少ない状態でアプリを動かすため、Windowsは“スワップ”という動作で、メモリ内の“すぐには使わない”データをSSDなど別の記憶領域へ一時的に退避する。
一般にSSDはDRAMに比べてアクセス速度が遅く、このスワップが体感速度の悪化につながる。
アプリが1つだけならまだ大きな問題にはならないが、Windowsでは複数のアプリを同時に使える。この場合、残り少ない空きメモリを複数のアプリが奪い合い、スワップが多発して体感速度の悪化として跳ね返ってくる。Microsoftは、いくつかのアプローチでこの問題に対処している。
1つ目は、圧縮とスワップのタイミングの調整だ。Windowsはスワップによるレスポンス低下を抑えるため、Windows 10以降、非アクティブなデータを圧縮してできるだけメモリ内に保持する機能を備えている。
この仕組みはWindows 11にも引き継がれているが、今回は8GBのPC向けにチューニングを施した。圧縮率やデータの出し入れ、再読み込みのタイミングを最適化し、最大で2GB多くメモリを確保できるようになっている。
2つ目は、Windowsの操作そのものの応答速度の向上だ。メモリに比較的余裕のあるPCでも、スタートメニューを開いたり右クリックしたりしたときに“引っかかり”を感じたことはないだろうか。
検索やファイルエクスプローラーなど、即応性が求められる操作で応答速度が改善しており、Microsoftによれば、2026年1月に提供されていたビルド(Build 26200.7628)と最新ビルド(Build 26300.9550)の比較で、8GBのPCにおける応答速度が最大20%ほど向上したという。
3つ目は、フォアグラウンド処理の優先だ。ユーザーが操作している間はユーザーが要求した作業を優先し、例えば検索のインデックス作成といったバックグラウンドのタスクを一時的に止めることで、“メイン”のアプリが快適に動くようにした。
同社によれば、アップデート後の再起動直後に“Webブラウザを開く”といった操作で効果を体感できるとしている。
この他、Microsoft Edgeのようにバックグラウンドで既に動作していることが多いアプリは、実行中の状態を直接呼び出すことで起動速度を最大33%高速化した。Teamsのように比較的“重い”アプリは、10月のTeamsアップデートで導入された“効率モード”で実行されるため、やはり起動速度が最大20%ほど向上する。
なお、Edgeを例に挙げたアプリ起動の高速化については次項で触れる。
4つ目は、マルチタスク時の動作速度の改善だ。YouTubeで動画が公開されているが、テスト機はSnapdragon X Plus(8コア)と8GBメモリを搭載した「HP OmniBook 3」だ。
Edgeで20個のタブを開いて4K動画を再生し、Word/Excel/PowerPointで3つの巨大なファイルを開き、さらにOutlookとファイルエクスプローラーも開いたままにした状態で、先ほどの「Build 26200.7628」と「Build 26300.9550」の動作を比較している。これで最大40%の高速化を実現できたという。
Accelerated App Launch
正式名称ではないようだが、今回Edgeで導入された、アプリを高速に起動するための機能だ。Neowinなどが報じていたように、これまではアプリ上でWebページへのリンクをクリックすると、対象のアプリ(この場合はEdge)が既に起動していても、一度起動のための呼び出しが行われ、その後にリンクを処理するという2段階のステップを踏んでいた。
この仕組みを使うと、起動中のアプリが該当するメッセージ(リンクを開く)を直接受け取れるようになり、ステップが1段階減って高速化につながる。
詳細はMicrosoftの解説ページを参照してほしいが、注意点は「誰でもすぐに使えるわけではない(CFRによる段階的なロールアウト)」「既に起動している場合のみ有効(ウォームスタート)」「対応するのはMicrosoft Edge 150以降のみ」の3つだ。他のブラウザが対応するかどうかは、今後の各社の動き次第となる。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.