アメリカ軍によるイランの小学校へのミサイル攻撃はデータベースの情報更新を怠りAIを過信したことが一因だったとの報道
しかし2017年の衛星画像では左上にある小学校の区画と隣の軍事施設が壁で仕切られ、出入り口も別々に。
2018年の衛星画像では、鮮やかな色に塗られた壁のほか、校庭のサッカー場のラインや児童が整列する場所、遊び場も写っています。なお、これらの図解はBloombergが攻撃までの経緯を再現したものであり、アメリカ軍の分析官が攻撃前に実際に閲覧できた資料そのものではありません。
アメリカ軍の情報分析官の一人は2019年には敷地の変化に気付いて記録を残したとのこと。しかし、その記録が残されたシステムは攻撃目標の選定に使う主要なデータベースとつながっていなかったため、データベース上では小学校の敷地が「革命防衛隊の施設」として登録されたままでした。
アメリカ中央軍はイラン革命防衛隊の海軍施設などを攻撃する計画に、アメリカ国防総省の軍用AI計画「Project Maven」の一環で開発された、パランティア・テクノロジーズ製の「Maven Smart System」を使っていました。Maven Smart Systemは衛星画像や過去の分析結果、報告書など150種類を超えるデータをまとめて標的候補を示すAIシステム。小学校の敷地は「革命防衛隊の施設」としてMaven Smart Systemに入力され、攻撃初日の標的候補の一つに挙がりました。
国防総省の内部調査に直接関わった人物らは、「アメリカ中央軍の一部の職員がMaven Smart Systemに組み込まれたAIを過信していた」と述べています。職員らは、古い情報やほかの情報との食い違いがあればMaven Smart Systemが知らせてくれると期待していたとのこと。

実際に標的を攻撃するかの審査は、Maven Smart Systemによる候補選定後に、情報分析官が衛星画像や報告書を確認し、法務担当者が合法的な攻撃目標かを判断、別の担当者が民間人への被害を見積もったうえで指揮官が攻撃の実行を決定するという流れで進みます。アメリカ軍が「キルチェーン」と呼ぶこの手続きには、ミナブへ行われた攻撃でも約36人が関わっていたとのことですが、指揮官による最終確認の時点で「標的は合法か」「情報は十分か」「民間人の被害を抑える措置を取ったか」の3項目すべてに「はい」と回答されていたそうです。
Bloombergによると、国防総省では民間人への被害を調べる複数チームで約90%の人員が削減されており、アメリカ中央軍の担当チームは10人から1人になっていました。内部調査に直接関わった人物らはBloombergに対し、「民間人への被害を調べるチームはミナブへの攻撃が行われる前に、標的の周辺に民間人がいるか調べたり、被害の少ない攻撃方法を検討したりする審査を行っていなかった」と話しています。
なお、歴史家のケビン・T・ベーカー氏は2026年3月26日の時点で、小学校の敷地が軍事施設として登録されたままだったことをイギリスの大手一般紙「The Guardian」への寄稿記事で指摘していました。
パランティア・テクノロジーズの広報担当者はBloombergに対し、「Maven Smart Systemに入力されるデータは同社の責任範囲ではなく、情報の不備を見つける役割も担っていない。ミナブへの攻撃でソフトウェアに落ち度があった証拠もない」と説明。また、アメリカ政府も、小学校への攻撃がアメリカ軍によるものだと公には認めていません。
内部調査の報告書も記事作成時点で公表されておらず、国防総省は調査中だとして詳しい説明を控えています。なお、攻撃が行われた後、パランティア・テクノロジーズは標的を攻撃候補から外すべき理由やデータの食い違いを再点検する機能をMaven Smart Systemに追加したとのことです。
Bloombergの取材に応じた国防総省の職員の一人は、開戦前は情報が不足しているとは思っていなかったと振り返り、「ミナブへの攻撃は自分たちの情報を過信してはいけないことを示した」と述べています。
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