[ITmedia Mobile] 「Galaxy Z Fold8」「iPhone Duo」を“メイン端末”として使う上での課題 縦型コンテンツの最適化をどう進める?
サムスン電子の最新折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold8」は、閉じると16:10、開くと4:3というアスペクト比を採用している。従来の横開きのフォルダブルスマートフォンと比べ、閉じるとよりコンパクトになり、開くとよりワイドな画面を利用できるのが大きな特徴だ。
開くと横長になる折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold8」
特にユーザー体験を変えると感じたのが、開いた状態のメイン画面。4:3という比率は写真や電子書籍と同じなので、これらのコンテンツを余白なしで表示できる。コミックを見開きで表示しても読みやすく、1ページずつ縦向きに表示しても余白はほぼない。
インナーディスプレイは4:3比率なので、写真を画面いっぱいに表示できる
映像コンテンツは16:9のものが多いので上下に余白が出るが、違和感なく楽しめる。Galaxy Z Fold8は、半開きで固定して画面半分に映像を表示するフレックスモードは使えないが、開き切って大画面で見ると割り切ればよい。
Galaxy Z Fold8は縦スクロール型のコンテンツ表示に向かない?
その一方で、不満を覚える点がある。それは、一般的なスマートフォンに最適化された、縦スクロール型のアプリを利用しにくいことだ。ブラウザやSNS、ニュースアプリなどが当てはまり、コンテンツを閲覧し続けるには、より多くのスクロールを強いられる。
閉じたときのアウターディスプレイは縦の長さが短いため、一般的なストレート型スマートフォンと比べて、表示できる情報量は少ない。右はPixel 10a
現在、一般的なバータイプのスマートフォンでは、多くの機種が19.5:9かそれに近いアスペクト比を採用しており、多くのアプリはこの“縦長”のレイアウトに最適化されている。Galaxy Z Fold8のアウターディスプレイは16:10なので、他のスマートフォンよりも縦が短く、1画面に表示できる情報量が少なくなる。
この問題はアウターディスプレイだけでなく、開いたときのインナーディスプレイも同様だ。インナーディスプレイは4:3と正方形に近いので、縦スクロール型のコンテンツの表示には向かない。
一方で例外もある。XとFacebookのアプリは、インナーディスプレイの場合に限り、通常は画面下部に表示される操作メニューが左端に縦向きで固定されているので、より多くの情報が表示される。そもそもディスプレイが大きいので文字も大きく、XとFacebookアプリに関しては、開いた状態なら快適に閲覧できる。

Galaxy Z Fold8のインナーディスプレイでは、操作メニューが左端に縦向きに表示される。なおサムスン電子によると、この仕様はGalaxy独自のものではないという
ただしアウターディスプレイの表示は従来通り、操作メニューは下に固定されている。Xアプリは横向きにすると操作メニューが左端に移るが、縦向きの表示でも操作メニューを縦に表示し、1画面あたりの表示領域を増やしてほしいところだ。
こうしたフォルダブル向けのレイアウトは、全てのアプリで採用されているわけではない。例えば「Yahoo!ニュース」アプリは操作メニューが下部に表示されたままだ。インナーディスプレイではニュースの見出しが2列で表示され、見やすくなる。一方、横画面でトップを開くと、広告の動画が全画面で再生されたこともあった。横画面でニュースを開くと、横いっぱいに間延びした表示になる。例えば横向きにしたら、左側にニュースの見出し一覧、右側にニュースの本文が表示されるレイアウトだと読みやすいと感じる。
Yahoo!ニュースアプリは横向きにすると、ニュースの見出しが2列で表示される
ただし広告の動画が横画面いっぱいに表示されることも……。これは優れたユーザー体験とはいえない
横向きにするとニュースが画面いっぱいに表示されて、やや読みづらい
ポケモンGOもGalaxy Z Fold8に最適化されていない
そして個人的に不満を覚えたのが「Pokemon GO(ポケモンGO)」のレイアウトだ。このゲームアプリも縦長のレイアウトを前提に開発されているので、Galaxy Z Fold8のアスペクト比とは相性がよくない。アウターディスプレイでは、フィールドのマップ表示は全体が縮小され、ポケモンやフレンドの一覧画面でも、表示できる情報量が少ない。対人戦のGOバトルリーグは、トップに表示される「参戦」ボタンが半分しか表示されず、操作しにくい。

アウターディスプレイでのマップ画面。縮小されてはいるが、大きな違和感はない(写真=左)。ポケモン一覧は、3×3の9体しか表示されない。ちなみにPixel 10aでは3×5の15体が1画面に表示される(写真=右)

ポケモンの詳細画面では、「強化」の下にある「進化」がスクロールしないと見えない(写真=左)。GOバトルリーグの画面では「参戦」ボタンが切れてしまっている(写真=右)
では開いてみるとどうか。まず、ポケモンGOは横向きの表示に対応しておらず、縦向き固定になる。全画面表示も可能だが、無理やり間延びしたような表示になり、マップは見やすくなるものの、情報の一覧性は劣る。例えば、リサーチ画面に表示される3つのタスク・リワードのうち、Galaxy Z Fold8では2つまでしか表示されない。表示を16:9に変更すると、1画面に表示できる情報量は増えるが、左右に余白が表示され、Galaxy Z Fold8を使うメリットが薄くなる。

縦の比率がより小さいインナーディスプレイだと、ポケモンは3×2の6体しか完全には表示されない(写真=左)。リサーチのタスクは2つしか表示されない(写真=右)

表示を16:9にすると、左右に帯ができてしまうが、情報の一覧性は増すので、開いて使うなら、この表示が現状の最適解といえる
ポケモンの捕獲や、一覧から選択しての博士送りなどの操作は、片手でサクッと行いたいが、開いた画面で両手操作を強いられるのはストレスだ。捕獲だけならアウターディスプレイでも問題ないが、ポケモンの一覧を表示→選択して博士送りの操作は、やはり縦長レイアウトの方が適していると感じる。
閉じたときに最適な使い方ができるよう改善を進めるとサムスン
サムスン電子 副社長 兼 Core Component Technology Team Byung-Duk Yang(ヤン・ビョンドク)氏は、2026年8月下旬に実施されたグループインタビューにて、新しいアスペクト比のGalaxy Z Fold8を採用した理由について、「YouTubeや電子書籍を見るなど、広い画面でコンテンツを消費することが増え、ユーザーの体験が変わっていること」を挙げる。そしてGalaxy Z Fold8の最大の価値は、「大画面による没入感と携帯性」だと語る。
Galaxy Z Fold8のメリットを語る、サムスン電子 副社長 兼 Core Component Technology Team Byung-Duk Yang氏
もちろんサムスン電子としても、コンテンツごとに適したアスペクト比があることは理解しており、Galaxy Z Fold8が全てのコンテンツ表示に満足できる最適解ではない。「コンテンツの形は既に決まっているが、そこに適したアスペクト比や、ユーザーが満足できる携帯性を実現できるかは検討してきた。SNSやブラウジングは、これまでのアスペクト比と差分はあるが、ポートフォリオを多様化している」と同氏。
多様化という言葉が示す通り、サムスン電子はもう1つの横折りフォルダブルとして「Galaxy Z Fold8 Ultra」も展開している。Ultraのアスペクト比はアウターディスプレイが21:9と縦長なので、SNSやニュースサイトの表示に向いている。「サムスンはさまざまなポートフォリオを持っているので、使い方のパターンを考慮して選べる。弊社は1つの形状で全ての使い方を満足できるとは考えていない。理想的な形は1つではない」(同氏)
なお、サムスン電子の担当者によると、Galaxy Z Fold8について「閉じたときの使い方に適した体験を提供できるよう、アプリ側ともパートナーシップを組み、片手で使いやすいよう検討している。画面を開いたときも、片方の画面でコメントできるようにするなど、SNSやショート動画でも最適な体験を提供できるよう努めている。SNSに最適なレイアウトを提供できるよう努力を続けている」とのこと。特にSNSは情報収集やコミュニケーションに欠かせないツールのため、最適化の強化に期待したい。
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