[ITmedia News] 「ここから先は残したい」ですぐ録音 AIリング「Vocci」はAIと仕事をする人にちょうどいいデバイスだった
著者
いしたにまさき
[ITmedia]
ライターという仕事をやっていると、発表会や取材の最中に「これは後でちゃんと聞き返したい」と思う瞬間が多々あります。スマートフォンを取り出して録音を始めることもできますが、そうすると視線はどうしても画面へ。話を聞くことと、記録を残すこと。その2つをもう少し自然に両立できないか、と思うことも少なくありません。
ウェアラブルAI製品の開発を手掛ける、シンガポールのGyges Labs(ギュゲス・ラボ)が開発したAIリング「Vocci(ヴォッチ)」は、会話やアイデアをリング本体で録音し、スマートフォンとクラウドを使って文字起こしと要約が行える製品です。日本ではMac用周辺機器などの輸入商社として知られるフォーカルポイントが取り扱います。
実際にしばらく使ってみると、これは会議中に画面で議事録を追うための道具ではなく、現場では話を聞き、終わった後に“記録を自分の仕事へ戻す”ための道具だと感じました。
開いた充電ケースに収められたVocci。通常価格は4万9990円。9月30日から「GREEN FUNDING」でクラウドファンディングが始まった
ダブルクリックは、メモではなく「録音するぞ」という合図
Vocciは、リングのボタンをダブルクリックして録音を始め、もう一度ダブルクリックして止めます。最初は「指輪を2回押すだけで録音できるのか」と思ったのですが、使っているうちに、この操作は単なるメモのショートカットとは少し違うと感じるようになりました。
自分の中では「ここから先の会話は、しばらく残しておこう」と決めてから押す操作です。ちょっとした思いつきを1秒で残すというより、ここから先しばらく録音するぞ、という小さな儀式に近いのです。その意味では、ダブルクリックという操作はちょうどいい。
公式サイトでは人差し指への装着を推奨していますが、個人的には親指が最もしっくりきました。左親指に着け、両手を合わせるようにして右親指でダブルクリック。録音を始めるという意思を持って、確実に押せる感じがありました。
録音開始時に指へ振動が返るのもいいところです。画面を見ずに操作が受け付けられたことが分かるので、気持ちよく使えます。
一方で、ここはもう一歩進むとUI的にもっとよくなるのではないかと感じました。録音開始と終了で返ってくる振動が同じため、どちらの操作が受け付けられたのかを手元だけでは判別しにくいのです。結局、録音が始まっているかを確実に知るにはアプリを見る必要がありました。
せっかく振動という、画面を見ずに状態を把握できるという優れた機能なのですから、開始と終了で違う振動パターンになれば、Vocciはもっと会話に集中しやすい道具になるはずです。
録音した音声ファイルを後で聞き返してみました。そこで驚いたのは、自分がその場で聞いていた感覚に近い音量とバランスで再生できたことです。
もちろん、音質は話者との距離、会場の騒音、人数、再生環境によって変わります。今回の感想は、あくまで筆者が試した環境での印象です。それでも、リング型デバイスでここまで自然に会話を聞き返せるなら、単に「録音が残った」という以上の安心感があります。
本体はIP67の防塵・防水性能をうたっていますから、雨の日でも外したりする必要をあまり感じずに済みました。雨天で性能を試験したわけではありませんが、毎日身につける道具として、この気楽さは意外に大きいものです。
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この記事の著者
ブロガー、ライター、アドバイザー、プロダクトデザイナー。2011年アルファブロガー・アワード受賞。ひらくPCバッグシリーズのデザインにて、2016年グッドデザイン賞受賞。
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