〈キーマンが辞任〉伊藤ハムがあえて挑む「低価格戦略」の中身…値上げラッシュの食肉業界と「300億円新工場」の使命 | ビジネス | 東洋経済オンライン

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わずか1年半での退任となった――。
伊藤ハム米久ホールディングス(HD)は、マーケティング担当で加工食品事業本部副事業本部長を兼務する中嶋祐子常務執行役員が、9月30日付で辞任すると発表した。理由について会社側は「本人の申し出を受けたもの」とした。10月1日付の執行役員一覧では「マーケティング担当」の記載もなくなる。
日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の元CMO(最高マーケティング責任者)だった中嶋氏は、キャッチコピーとして「今日ケンタッキーにしない?」を打ち出して500円ランチを展開するなど、日常使いを促すキャンペーンを推進し、業績のV字回復に貢献した人物。伊藤ハム米久HDは、販売数量の低迷が続く加工食品事業の立て直しに向け中嶋氏を登用し、販促を強化してきた。
だが、期待とは裏腹に、販売数量の減少に歯止めをかけられなかった。伊藤ハム米久HDのピザ・スナックやチキン商品など調理加工食品の販売重量は4期連続で前年度実績を下回り、ハム・ソーセージは6期連続で前年度割れが続く。2026年4〜6月期も、ハム・ソーセージの販売重量は前年同期比2.4%減、調理加工食品は同3.8%減と低迷した。
8月28日の新商品発表会で、中嶋氏は「セールスミックスのバランスが不十分だった。勝負して取りこぼした部分もある」と振り返っていた。日々の利用シーンを想起させるブランドコミュニケーションを展開するなど販促を強化してきたが、数量回復にはつながっていない。さらに、中嶋氏は「主力商品にリソースを集中しているが、そのレベル感と、自社競合が発生してしまったことが課題だ」とも説明していた。
競合メーカーの幹部は「自社店舗で価格設定や販促施策を柔軟に打ち出せる外食企業と、小売店を通じて販売する食品メーカーでは、マーケティングの前提条件が異なる」と指摘する。食品メーカーが店頭で販促を強化するには、小売店のバイヤーとの関係構築や売り場提案など、営業部門との連携が欠かせない。
伊藤ハム米久HDの浦田寛之社長も、今年8月に実施した東洋経済のインタビューで「恥ずかしい話だが、営業が課題となっている」と認める。
この記事では、プロマーケターでも打開できなかった構造的な課題と、値上げラッシュの中で伊藤ハムがあえてトレンドに逆行する「逆張りの新戦略」の全貌を解説します。
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つくだ りくおRikuo Tsukuda
慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界、不動産などを担当。現在は投資媒体「会社四季報プロ500」編集部に所属し、食肉業界も担当。
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