[ITmedia ビジネスオンライン] 人任せのDX→アプリ開発で「年間2億円超」削減見込み 関西電力送配電はどうやって社長・役員を“本気にさせた”のか
この悩みこそ、DXに取り組む多くの企業に共通する課題ではないか――。関西を中心に一般送配電事業を担う関西電力送配電(大阪市)でDX推進を率いる配電グループ チーフマネジャーの高橋俊輔氏はこう話す。
同社は「データの未整備」や「専門人材の不足」といった課題を抱える一方、もっと根本的な問題があったという。それは「誰が本気で変えようとしているのか」が見えないことだった。
そこで高橋氏らが取り組んだのは、経営層の意識改革や人材育成、AIアプリの実業務への適用を通じて、組織そのものを変えていくことだった。同社は、組織変革のために必要なことをどのように考え、いかに実践してきたのか。
本稿はエクサウィザーズが10月14日に開催した「AI Innovators Forum 2026」のセッション「DXはなぜ動かない? 組織を動かすために本当に必要なこと~関西電力送配電が挑んだ、組織変革のリアル~」を基に構成。
「覚悟」の共有が足りない──社長・役員を本気にさせた方法は?
「何かが足りないからDXができないのではなく、本気で変える意思決定をしていない。それができていないから、データ整備をはじめとするDXの基盤構築も進まない」
高橋氏は、当時の問題意識をこう振り返る。
関西電力送配電 大阪北本部 配電グループ チーフマネジャー 高橋俊輔氏(筆者撮影)
同社は2020年、電力システム改革を受けて、関西電力から送配電事業が分社化する形で設立した。
2009年に関西電力に入社し、配電や経理、広報、情報技術などを経験した高橋氏は、2024年にDX推進グループを立ち上げた。担当になった当初、社内にはデータ整備や専門人材、開発環境の不足に加え、現場がDXに取り組む余裕を持てないといった課題があった。
一方で、各部門や経営層と対話するうちに、より根本的な問題が見えてきたという。「DXの必要性は理解されていても、既存業務を変えてまで取り組む覚悟が、会社全体で共有されているのか」という疑問だった。
高橋氏は担当役員と危機感を共有し、社長を含む経営層に直接、変革が進まない現状を伝えた。意識したのは、ツール導入や研修の提案にとどめず、将来の事業運営に支障を来しかねない経営課題として問題を提示することだったという。
その結果、社長の意思決定により、全役員・全部長を対象としたDXブートキャンプと、全役員・全従業員を対象とするDXアセスメントの実施が決まった。
ブートキャンプでは休日の2日間を使い、経営層と部長がDXについて集中的に議論した。知識を学ぶだけでなく、自部門をどう変え、自ら何をするのかを考え、宣言することを重視したという。
この取り組みをきっかけに、CDO(最高デジタル責任者)の設置やDX専任組織の新設、経営層がDX課題を直接議論する会議体の整備が進んだ。
「誰かが頑張るDXから、経営層と各部門が自分たちの責任として進めるDXへ。DXの主語が変わり始めた」と高橋氏は振り返る。
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