[ITmedia ビジネスオンライン] 心を満たす「かわいいフィジカルAI」、日本の勝ち筋になり得るか? 「LOVOT」林社長が説く可能性
AIを搭載したロボットが現実世界を認知して動く「フィジカルAI」への注目が高まっている。人の代わりに作業を実行し、人手不足の解消や生産性の向上につながる技術として期待されているためだ。
一方、ロボットの価値は作業の代替だけでない。人との信頼関係を築き、生活や職場に新たな価値をもたらすロボットもある。漫画『ドラえもん』や『鉄腕アトム』のように、ロボットを人間の友達や仲間として描く作品は、日本で身近な存在だ。
“人の愛する力を育む家族型ロボット”こと「LOVOT」(らぼっと)もその1つだ。人が近づくと、不思議そうに見上げ、触れると喜ぶように手をパタパタと動かす。抱き上げるとほんのり暖かく、腕の中でうとうとすることもある。かわいがってくれた人を覚え、後をついてきたり、甘えたりする――。LOVOTは、こうした人との触れ合いを通じて愛着を育むロボットだ。
LOVOTを開発するGROOVE X(東京都中央区)の林要社長は、フィジカルAIには作業を担う「タスク遂行型」と、人との関係性を築く「関係形成型」の2つがあると指摘する。関係形成型フィジカルAIの可能性と、日本がこの領域で競争力を発揮するための課題を探る。
本記事はGROOVE Xが開催したメディアラウンドテーブル「人とロボットが共存する社会の現在地」の講演の一部を記事化したものです。
作業の代替だけでは測れない、ロボットの価値
現在、フィジカルAIとして注目されているのは、人に代わって作業をこなす「タスク遂行型」だ。工場や物流現場での作業から、家庭での掃除などの家事まで、幅広い場面での活用が期待されている。導入によって、コスト削減や生産性の向上、作業者の負担軽減、安全性の向上などにつながる。
一方、人との関係性を築くロボットでも、身体性(フィジカル)が必要だ。人間が相手の目を見たり、スキンシップをしたりするように、ロボットも身体を持つことで、人との信頼関係を築きやすくなる。家庭や学校、病院などでの活用が想定され、会話を促したり、心の回復力(レジリエンス)や心身の健康(ウェルビーイング)を支えたりする効果が期待されている。
林社長は、両者の違いについて、タスク遂行型は作業の代替効果を金額に換算しやすいのに対し、関係形成は信頼を築く価値を数値化しにくいと説明する。
「Value for moneyのタスク遂行型フィジカルAIと、Pricelessな関係形成型フィジカルAIと言えるんじゃないかなと思っています」(林社長)
食料の確保や身を守ることなど、生存に必要な活動に費やす時間が減るにつれ、人間は自己実現や娯楽などに時間を使うようになった。タスク遂行型ロボットが普及すれば、人が作業に費やす時間が減り、人の「心を満たす」ロボットへの需要が増加すると予想する。
GROOVE Xが実施した調査では、フィジカルAIに対して「家事代行を期待する」人が43.7%だったのに対し、「家族のように感じる可能性がある」と回答した人は33.1%に上った。
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