Google Chromeが一度断念した「JPEG XL形式のサポート」を改めて導入した理由とは?

JPEG XL形式は従来のJPEG形式よりも高い圧縮効率と高い画質を両立するために開発された次世代画像フォーマットです。JPEG形式は基本的に画像の情報を一部捨てる非可逆圧縮ですが、JPEG XLは元の画像を完全に復元できる可逆圧縮にも対応。さらに既存のJPEGファイルを、画質を落とさずに再圧縮できるのも大きな特徴です。加えて、通常のJPEGファイルでは扱いにくいHDR画像や広色域画像にも対応し、GIF画像のようなアニメーションも扱うことが可能です。
Appleが新たにサポートする「JPEG XL」規格の起源とは? - GIGAZINE
JPEG XL形式は2021年10月に国際標準規格となったフォーマットで、Chromeではバージョン91から実験的に対応していましたが、2022年10月29日にChrome・Chromium M110でJPEG XL形式のサポート廃止がコミットされました。
Google Chromeの開発チームは当時サポート廃止の理由について、「実験用のフラグやコードをいつまでも残すべきではない」「JPEG XLの実験を続けるほどエコシステム全体からの関心が高くない」「JPEG XLはデフォルトで有効にすることを正当化するほど、既存のフォーマットに対して十分に勝る利点をもたらさない」「フラグとコードを削除することで、メンテナンスの負担を軽減し、Chromeの既存のフォーマットの改善に集中する」と説明していました。
Google Chromeが次世代画像規格「JPEG XL」形式のサポート廃止を検討、その理由とは? - GIGAZINE
今回のバージョン155で改めてJPEG XL形式のサポートが導入された理由について、Googleの開発チームは以下の3つを挙げています。
◆Rustでデコーダーを再実装したから
画像を表示するためのデコーダーは外部から取得した画像データを処理するため、サイバー攻撃の標的になりやすい部分です。従来のC++などで開発されたデコーダーには、メモリの扱いに起因する脆弱(ぜいじゃく)性が発生するリスクがあったとのこと。
そこで、開発チームはメモリ安全性に優れたプログラミング言語のRustで開発された「jxl-rs」を採用しました。これにより画像処理に伴うメモリ安全性の問題に起因するセキュリティリスクを大幅に減らすことができます。
◆安全性を確保しながら高速な画像処理を実現できたから
安全性が高くても、画像の表示速度が遅くなってしまっては意味がありません。そこで開発チームは、CPUが複数のデータをまとめて処理できる「SIMD(Single Instruction, Multiple Data)」という仕組みを活用しました。
SIMDはCPUが1つの命令で複数のデータを同時に処理する技術です。JPEG XL画像のデコードは大量の画素データに対して同じ種類の計算を繰り返すため、SIMDを利用することで画像の展開処理を高速化できます。
◆ウェブ開発者から強い要望があったから
開発チームによれば、JPEG XLへの対応はウェブ開発者から長年にわたって寄せられていた要望でもあるとのこと。特にブラウザ間の互換性向上を目指す「Interop」プロジェクトでは、2026年にJPEG XLへの対応が人気のイシューとなりました。
ウェブブラウザの相互運用性を改善する「Interop」プロジェクトとはどんなものなのか? - GIGAZINE
そこで、開発チームはJPEG XL形式が異なるブラウザ間でも互換性を保てるように、「Interop 2026 JPEG XL Investigation」に参加。この取り組みでJPEG XL形式の各機能が正しく動作するかを確認するための共通テストを整備し、Chromeがそれらのテストに合格するよう取り組んでいるそうです。
Googleの開発チームは「Chromeが正式にJPEG XLに対応することで、ウェブはより高速で表現力が豊かになり、安全性も向上します。私たちはウェブ開発者やコンテンツ制作者、プラットフォーム運営者の皆さんに対し、画像やアニメーションの制作・配信にJPEG XL形式(.jxl)を活用することを推奨しています」とコメントしました。
なお、記事作成時点でChromeのバージョン155はJPEG XL形式のデコードのみに対応しており、画像を作成・保存するエンコードを含めた全ての機能に対応しているわけではないので注意が必要です。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.



