単価2倍値上げと社長の暴走で崩壊状態の人材派遣会社…社長自身も地獄の業火の壮絶な現実 | ビジネス | 東洋経済オンライン

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どうでもいい話で恐縮だが、月に1回、能楽堂に足を運んでいる。能は200演目以上あるが、その構成には型がある。
無念や怨念を抱いて亡くなった者が、現世に亡霊となってあらわれ、苦悩を語りながら舞う。太鼓の激しいリズムが鳴り響き、地謡(じうたい)の男たちが低く唸(うな)り上げる。
うむ。鎮魂歌であり、ロック&ブルースにも通じる。
中でも、「阿漕(あこぎ)」という演目は、地獄の業苦を描き出す。
30年以上にわたる企業取材の経験を通して、「ヤバい」と感じた会社や仕事を取り上げていく。【原則日曜日更新】
密漁を繰り返して捕まった漁師が、極刑となり海に沈められる。地謡が法華経を読誦する中、亡霊が猛火に喘(あえ)ぎ苦しむ。
ちなみに「阿漕」という言葉は、この舞台となった伊勢・阿漕ヶ浦から来ている。
前振りが長くなった。
A氏(40代)からの告発メールを読んだとき、この言葉が頭をよぎった。
いきなり派遣の単価を2倍に
「昨年、人材派遣会社に役員としてスカウトされましたが、社長がヤバすぎました。投資や海外旅行で散財し、赤字に転落。すると、いきなり派遣の単価を2倍にしたんです。当然、派遣先の会社は発注を減らし、社員の退職も止まりません。私も8カ月で辞めました」
2倍にするってどういう職種?
「クリエーティブな人材を派遣しています。大手企業って紙のカタログやパンフレットを作るじゃないですか。その制作ができる部隊を送り込んでいます」
じゃあ、社長はその道のプロ?
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かねだ・しんいちろう
元日経ビジネス記者・ニューヨーク特派員、日本経済新聞編集委員。2019年に独立。著書に『失敗の研究』『つなぐ時計』『テレビはなぜ、つまらなくなったのか』など。
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