相手が感情的で自分は論理的、糾弾し合う保守とリベラル 『社会が壊れるその前に』磯野真穂氏に聞く | ライフ | 東洋経済オンライン

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56年前に書かれた「予言の書」どおりに社会が悪化している──。イギリスの人類学者メアリ・ダグラスが著した『ナチュラル・シンボル』。先達によるこの本を道しるべに、SNSで非難の応酬が盛んに繰り広げられる現代社会へ警告を発する。
──『ナチュラル・シンボル』は、同業の人類学者たちにさえ忘れられがちな古典だったとのこと。ひもとくきっかけは。
『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』(磯野真穂 著/新潮選書/1980円/224ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
コロナ禍だった。正しい知識を持っているとされる感染症の専門家が、合理性を超えた過剰な感染対策にも異議を唱えない。そんな場面を何度も目にする中で、人の行動を決めるものは論理ではないのだろうと思った。人は、何か象徴に突き動かされて動いてしまう。論理は後付けなんだ、と。
例えば私が、「炎天下でも皆がマスクをしているのは変だ」と言うと怒り出す人がいた。
──マスクは命を大事にする象徴だったからですか。
というより、マスクをしていることが「自分は他者に感染を広げない道徳的な人間である」という象徴だったからだ。
2022年の安倍晋三元首相の国葬をめぐっても象徴が感情を動かしていた。国葬賛成派と反対派、双方とも先に感情があって後から法的根拠を持ってくる。これは安倍晋三という人が、象徴になっていたからだ。彼を通じてすばらしい日本を見ていた人と、どんどん悪くなる社会を見ていた人とが、真っ二つに分かれて戦っていた。
「分断」といわれるような対立構造は、「象徴とは何か」を真剣に考えなければ読み解けず、解消もされない。だから本書で、改めてこのテーマに取り組もうと考えた。人間である以上、誰もが象徴によって感情を動かされる。自分が妙に熱くなったり怒りに震えたりしているときは、何らかの象徴が働いている。
中間地点をとらなければならない
──ダグラスの象徴論に立ち返り、気づいたことは。
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くろさき あゆみAyumi Kurosaki
特に関心のあるテーマは分配と再分配、貨幣、経済史。趣味は鉄道に揺られる旅、書店や図書館で本棚を眺めること。1978年生まれ。共同通信記者(福岡・佐賀・徳島)、『週刊エコノミスト』編集者、フリーランスを経て2023年から現職。静岡のお茶屋の娘なのに最近はコーヒーばかり。
連絡先:a-kurosaki[at]toyokeizai.co.jp
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くらさわ みさMisa Kurasawa
米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。帰国後、2006年に東洋経済新報社入社。メディア、食品、電力企業などを担当後、週刊東洋経済編集部→東洋経済オンライン編集部で副編集長、編集委員。25年4月から報道部で電機やAI業界を担当。夢は古着屋。気がつくと食事のことを考えている。
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