長時間無呼吸で潜水するフリーダイビングが脳に大規模な再編成を引き起こす可能性
酸素は人体のエネルギー産生において必要不可欠な物質で、中でも脳で消費される酸素量は全身酸素消費量の約20%に及びます。酸素が欠乏すると脳の記憶形成が阻害されることもわかっていますが、長時間無呼吸で潜水するフリーダイビングを行う人の脳を調べた研究で、フリーダイビングが脳を大規模に再編成する可能性があると示されました。
Hippocampal and large-scale functional connectivity reorganization following freediving training, and relationships with episodic memory | bioRxiv
https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.09.24.753809v1
Freediving Seems to Reorganize The Human Brain on a Large Scale : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/freediving-seems-to-reorganize-the-human-brain-on-a-large-scale
脳への酸素供給が不足すると神経細胞は数分以内に死滅し始め、意識喪失や死に至る可能性があります。中でも記憶や学習に関わる海馬は低酸素状態に敏感であり、低酸素症は記憶力や注意力、その他の認知機能の問題と関連付けられています。
しかし、無呼吸状態で潜水できる時間や深度を競うフリーダイビングをする人を対象にした過去の研究では、臨床的な低酸素症に関連する認知機能障害の兆候は一切みられませんでした。
パリ=サクレー大学の神経科学者であるジュリア・ミコー氏らの研究チームが2025年に発表した研究でも、フリーダイバーの海馬の構造が維持されており、エピソード記憶にも障害はみられませんでした。一連の研究結果は、フリーダイバーの脳では低酸素状態に適応するために、何かしらの変化が起きていることを示唆しています。
以前から運動は、大規模な脳ネットワークの再編成と一貫して関連付けられてきました。そこでミコー氏らの研究チームは、フリーダイバーの脳が時間とともにどのように変化するのかを詳しく調べる実験を行いました。
研究チームは経験豊富なフリーダイバー17人を募集し、7カ月間にわたって標準化されたフリーダイビングのトレーニングを受けさせました。被験者は27~55歳の男性で、比較用の対照群として年齢や経歴が似ているフリーダイビング未経験者の男性20人も募集されました。対照群はフリーダイビングのトレーニングを受けませんでしたが、フリーダイバーの訓練量に匹敵する週に5時間の有酸素トレーニングを行いました。
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