「死亡説」を娘ジュエ氏とともに打ち消した金正恩総書記、娘が着たピンク色のスーツに映る北朝鮮の変化と後継者への道 | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が、娘のジュエ氏とともに平壌で開かれた衣服・靴の展示会に姿を見せた。金正恩氏をめぐっては、直前まで「脳出血で死亡した」との情報が海外のSNSで拡散していた中での視察報道だが、この死亡説を事実上打ち消すものとなった。
実は、金正恩氏をめぐる死亡説は今回が初めてではない。2020年には約20日間にわたり公の場から姿を消し、世界的な騒動となった。また金正恩政権が本格化した12年以降は、短くて10日ほど、長くて1カ月超の間、動静がわからなかったことが数回あった。
一方で、金総書記が姿を現した今回の展示会で注目されたのは、本人よりもむしろ、ピンク色のスカートスーツに身を包んだ娘とされるジュエ氏の姿だった。近年、彼女の服装は大きく変化しており、その変わりぶりに関心が高まっている。
「脳出血で死亡、中国軍が平壌に進駐」?
北朝鮮の朝鮮中央通信と朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は26年10月20日、金正恩氏が前日の19日、平壌で開催された「全国被服・履物展示会2026」を視察したと報じた。
この展示会は「新製品開発と品質向上の熱風」をテーマとし、全国の主要な軽工業工場や新設された地方の衣服工場など、約270の生産単位が参加した。出品されたのは衣服が30種類以上、約7万700点、靴が60種類以上、約17万足に上る。北朝鮮が現在注力している地方経済振興策で、金正恩総書記肝いりのプロジェクトでもある「地方発展20×10政策」の成果をアピールする行事だった。
金正恩氏は展示された製品を見て回り「地方工場の製品が中央の工場で生産された製品と競争できる水準に達している」と評価した。報道写真には、金正恩氏が娘のジュエ氏や妻の李雪主(リ・ソルチュ)氏とともに展示品を見て回る姿が写っていた。
今回の報道が注目を集めたのは、10月18日ごろから海外のSNSで「金正恩氏が脳出血を起こして昏睡状態に陥り、死亡した」という情報が急速に拡散していたからだ。
情報には、かなり具体的な内容が付け加えられていた。金正恩氏が重度の脳出血を起こし、中国・北京協和医院の専門医が治療に当たったものの、北朝鮮国内では十分な治療ができず、北京に緊急移送された。その後、治療の甲斐なく死亡し、遺体は秘密裏に北朝鮮へ運ばれた――というのである。
さらに、中国人民解放軍の部隊が北朝鮮に入り、金正恩氏の死後の混乱を防ぐために平壌の治安維持に当たっているとする情報まで登場した。
これが事実なら、北朝鮮の政権存続だけでなく、朝鮮半島の安全保障を根底から揺るがす重大事件だ。しかし、これらの情報には信頼できる裏付けがなかった。北朝鮮や中国の公式発表はなく、韓国の情報機関なども死亡を確認していない。
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ふくだ けいすけKeisuke Fukuda
1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『金正恩の「決断」を読み解く』(彩流社)、『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(以上、東洋経済新報社)など。
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