[ITmedia News] コードを書かずに“自分専用IME” 日英を自動切り替えできる「Meltype」にAI変換を載せてみた
著者
小寺信良
[ITmedia]
技術系の人間にとって、文章内に英単語が出てくることは避けられない。日本語変換エンジンは、ローマ字でタイピングした文字をなんとか日本語にしようとするので、英単語のままで入力するためには日本語変換を切って英語モードに切り替えて入力するか、入力したあと無変換キーを押すか、それに相当するF10キーを押すかといった操作が必要になる。
これはもはや日本語入力の宿命のようなもので半ば諦めていたが、「ATOK」が単語の先頭をShift押しして大文字入力したものは英単語と見なすという機能を実装したことで、ようやくこうした方法論から脱却できそうであった。ただ昨今の英単語、特にブランド名などの固有名詞は最初の文字を大文字にしないという傾向が出てきた。例えば「macOS」などがその顕著な例である。こうした単語は、相変わらず単語ごとに区切って無変換とするしかなかった。
これだけAIが発達してきている中、日本語変換が旧態然としているのはどうなんだという疑問を提示したのが、2024年5月のことである。
その後日本語変換は、2025年あたりから急速に進化し始めた。その状況は本連載でも2025年7月に「azooKey on macOS」をテストしたのを皮切りに、Windowsでは「Copilot Keyboard」、ATOK Ver.36などをレポートしてきたところだ。
そんな中、もう1つ新しいアプローチが登場した。「Meltype」は、半角/全角キーを押さなくても日本語と英語を打ち分けられるようにする、常駐ツールだ。変換エンジンではなく、入力の前段階で日本語なのか英語なのかを切り分け、英語と判断すればそのまま入力し、日本語と判断すれば変換エンジンに渡す、というものである。
現在「GitHub」でWindows版が公開されており、Mac版・Linux版はプレビュー版が公開されている。今回はこれを試してみたい。
確かに便利だが…
Windows版はすでにビルド済みのものがインストーラ付きで配布されているので、導入は簡単である。ただし変換エンジンは、標準の「Microsoft IME」を使用することになる。
実際に使用してみたところ、日本語と英語の切り分けをする必要がなく、そのままどんどん入力していける。
ただ、日本語話者にとっては、文章の大半は日本語入力だ。その日本語入力部分がまるっとMicrosoft IMEに依存するので、同音異義語の誤変換や、文節の切り間違いなどが多発する。変換効率全体で考えれば、ごく一部は楽になったが、Microsoft IMEの限界に足を引っ張られる格好である。米Microsoft純正のCopilot Keyboardも正式版が公開されているので、今後こちらへの対応を期待したい。
普段筆者の執筆用パソコンは「MacBook Pro」なので、Mac版も試してみたくなった。こちらはプレビュー版であることから、自分でビルドしてインストールしなければならないが、変換ライブラリには「AzooKeyKanaKanjiConverter」を使用するという。変換効率という点では期待できるかもしれない。
そこでソースからビルドして、macOSにインストールしてみた。OSはTahoe 26.6.2である。昨今は自分でビルドしなくても、「Codex」を使えばAIがビルドしてくれる。筆者の環境では開発ツールに古い定義ファイルが混在しており、リンクエラーが発生していたが、AIが修正してくれた。こうしたことは自分で解決すると時間がかかるが、AIに任せれば待っているだけでいい。
ビルドされたものをインストールして試用してみた。こちらもたしかに日本語と英語を打ち分ける必要はなく、自動的に切り分けてくれる。ただビルドしたMeltypeでは、日本語変換にAzooKeyKanaKanjiConverterを使用している。これは辞書と統計的なコスト計算に基づくかな漢字変換エンジンだ。現在のazooKeyの最大の特徴は、日本語変換にニューラルかな漢字変換システム「Zenzai」を使用していることである。変換効率という点では、圧倒的にZenzaiの方が優れている。
実際Meltypeでは、現行のazooKeyに比べると異様に誤変換が多い。筆者は普段からazooKey 0.1.4を使用しているので、違いがよく分かるのである。
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