[ITmedia News] メアドを検索→AIで“その人専用フィッシングメール”を生成する手法、クリック率が約2.7倍に 7000人以上で実験
著者
山下(Seamless)
[ITmedia]
Innovative Tech:
2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
ドイツのベルリン工科大学などに所属する研究者らが発表した論文「A Large-Scale Study of Personalized Phishing using Large Language Models」は、AIが生成するスピアフィッシング攻撃の有効性を検証した研究報告だ。
だまされる人(ターゲット)それぞれ個別に合わせて文面を作り込む「スピアフィッシング」というフィッシング攻撃がある。近年では、その文面をLLM(大規模言語モデル)が生成する可能性が指摘されているが、実際に自動かつ大規模に展開し、どれくらい効果があるのかは検証されていない。
そこで今回、研究チームは大学職員7741人を対象にAIによるスピアフィッシング攻撃の影響力を調べるため実験を行った。
まず各ターゲットのメールアドレスを検索エンジンにかけ、ネット上に公開されているWebページから経歴や所属などの情報を抽出。次に、複数のAIモデルを連携させて個人のプロファイルを作成、それぞれのターゲットに最適な差出人と文面を自動生成する。職員7741人のうち、ネット上に情報があったのは4010人で、このうち3310人に個人向けメールを送った。
その結果、全員に同じ文面を送る一般的なフィッシングメールのクリック率が3.9%だったのに対し、今回LLMで生成したスピアフィッシングのクリック率は10%だった。論文によると、従来の手法よりもクリック率が2.74倍に増加したという。
なお、専門家が手作業で作成したスピアフィッシングのクリック率は24.2%だった。しかし、手作業には膨大な時間と労力がかかる。一方LLMは、約4000通の専用メールを作成するのに要した時間は約50時間で、1通あたりの費用は約0.03ドルだった。
さらに、ターゲットの公開情報の量が多い人ほどだまされにくく、少ない(少ない層・中程度の層)ほどだまされやすいことも分かった。迷惑メールへの自動フィルターはほぼ機能しておらず、大学のフィルターにかけた結果、3949通のうち不審と判定されたのは1通だけだった。
Source and Image Credits: Czybik, S., Kouam, A. J., Heubl, P., Nold, J. M., & Rieck, K. (2026). A Large-Scale Study of Personalized Phishing using Large Language Models. 35th USENIX Security Symposium (USENIX Security 26), 1687?1706.
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
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2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。
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