〈58年の歴史に幕〉西武渋谷店きょう閉店へ…冷静に受け止めた社員たち、苦い教訓を生かし「そごう・西武」の再建なるか | ビジネス | 東洋経済オンライン

INDEX
「渋谷のシンボルがなくなってしまい本当に寂しい」「たくさんの夢をありがとう!」――。
58年にわたって営業を続けた西武渋谷店が9月30日、閉店する。渋谷スクランブル交差点から店の前まで続く公園通り沿いのショーウィンドーには、SNS上に投稿された客からのメッセージが貼り出されていた。最後の様子を思い出に残そうと、店の前で写真を撮る人の姿も多く見られた。
「日本の最先端ファッションと文化の聖地」として1968年に開業した同店だが、バブル経済の崩壊をきっかけに販売不振が長く続いた。流通大手のセブン&アイ・ホールディングス(HD)や外資ファンドの傘下に入っても、経営を好転させることができず、ついにその半世紀以上の歴史に幕を閉じることとなった。
売り上げはピークの3分の1以下に
運営元のそごう・西武によると、西武渋谷店の最盛期はバブル経済の末期。90年度には店舗売上高(テナント売上高を含む)が967億円に達したが、その後の不況とともに、売り上げと客数は急速に落ち込んだ。
親会社だったセブン&アイHDの会社資料によると、2007年度の時点で西武渋谷店の店舗売上高は548億円まで低迷。コロナ禍には一段と落ち込み、経済回復の兆しが見え始めた22年度の店舗売上高は317億円と、ピーク時の3分の1以下の水準に沈んだ。会社関係者によると、営業損益も赤字が続いていたという。

不振の要因は複数あるが、何よりも最大の理由は顧客の消費行動の変化に対応できなかったことだ。
1980年代後半までは若者らも高級ブランドの衣料品などを買い求める傾向があったが、バブル経済の崩壊とともにそうした需要が喪失。消費者の財布の紐が固くなる中で、西武渋谷店は高級路線からうまく転換できず、外商などのサービスも大きな実を結ぶことはなかった。
対照的に、同じ渋谷で百貨店や商業施設を運営する東急グループは、より若い学生層やファミリー層の開拓を意識して、積極的にテナントや売り場の入れ替えを進めた。その結果、「SHIBUYA109」が90年代後半のギャル文化を代表する商業施設になったように、渋谷は10代の若者が多く闊歩する街に様変わりし、高級志向の強い客層はますます銀座や新宿の百貨店に足を運ぶようになっていった。
2/4 PAGES
この記事は有料会員限定です
残り 2259文字
166 記事
関連記事
本文の内容に基づいた記事をピックアップしています
フォローすると、最新記事をメールでお知らせします。
よしだ けいいちKeiichi Yoshida
1988年生まれ。テレビ局記者を経て2024年入社。現在はドラッグストアや調剤薬局、百貨店、アパレルの業界を中心に取材。流通・小売業のほか、人口減少、環境問題、災害といった取材テーマにも関心。大学時代は政治学を専攻。趣味はバスケットボール。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.