[ITmedia News] 貧乏な子どもが“稼げる大人”になる条件とは? 米ハーバード大などがFacebook7000万アカウント超から分析 2022年にNature掲載
著者
山下(Seamless)
[ITmedia]
ちょっと昔のInnovative Tech:
2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその番外編として“ちょっと昔”に発表された世界中の個性的な研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ハーバード大学や米スタンフォード大学などに所属する研究者らが2022年にNature誌で発表した論文「Social capital I: measurement and associations with economic mobility」は、どんな人とのつながりが、将来の収入アップに影響するのかを分析した研究報告だ。
貧乏な家庭のイラスト(絵:おね)
研究チームは、米国の25歳から44歳までのFacebookユーザー7220万人、210億件に上る友人関係のデータを匿名化して分析した。人々のつながりを大きく3つの種類に分けて分析を行っている。
1つ目は、所得や社会的地位が低い人と高い人がどれくらい交友関係を持っているかを示す指標。2つ目は、友人グループの絆の強さや内輪のまとまり具合を示す指標。そして3つ目は、ボランティア活動などへの参加度で測る指標だ。これらを米国の地域ごとに算出し、低所得家庭で育った子どもが大人になってからどれだけ所得を上げられたかというデータと照らし合わせた。
その結果、将来の所得向上に影響を与えていたのは、低所得層の人がどれだけ高所得層の友人を持っているかを示す指標(1つ目の指標内)だった。研究チームの試算によると、貧しい家庭の子どもであっても、裕福な人たちとの交流が盛んな環境で育った場合、大人になってからの収入が平均して約20%アップするという。
3種類の指標のうち、経済的繋がりのみが将来の所得向上と突出して強い相関を持つことを示している
豊かな階層との繋がりが強い地域(右側)で育つほど、低所得家庭の子どもの将来の所得(上側)が高くなるという正の相関関係を示している
たとえ地元コミュニティーの絆が強くても、あるいは地域のボランティア活動が盛んであっても、それらの要素自体は将来の経済的な成功と強い結びつきを持っていなかった。貧困から抜け出すために必要な要素としては、自分とは異なる、より豊かな階層の人々と友人関係を築けているかどうかということが示唆された。
Source and Image Credits: Chetty, R., Jackson, M.O., Kuchler, T. et al. Social capital I: measurement and associations with economic mobility. Nature 608, 108?121 (2022). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04996-4
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
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2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。
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