民放の見逃し配信「TVer」、トップが語る高成長の裏側…テレビ番組×ネット配信ならではの見せ方、差別化とは | ビジネス | 東洋経済オンライン

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テレビ離れが指摘される中、対照的に日の出の勢いを見せるのが、民放各社による見逃し配信サービスの「TVer」だ。テレビ番組の終わりに「無料配信のTVer」と告知されるのは、すっかりおなじみの光景になった。なぜこれほど普及したのか。今後の展望は。TVerの大場洋士社長を直撃した。
――TVerは月間ユーザー数が4500万人近くにまでなり、月間動画再生数は6.5億回にまで伸びています。成功の要因は。
2015年10月のサービス開始から10年以上になるが、当時は動画サイトに番組の違法動画があがっていた。アップロードした業者が広告収益を得る一方、適正な収益をもらうべきテレビ局はお金を得られない。そこで、テレビ局として公式に配信をやることに決めてTVerを開始した。
新しい技術の進展が後押しになった。光回線やWi-Fiの登場で高速・大容量動画をインターネットで送れるようになったことに加え、スマートフォンやコネクテッドTVなどのデバイスが普及した。そうした中、新しいデバイスを通じた新しいコンテンツへの接し方にアジャストし、配信で視聴する楽しみ方を広げていったことで、大きく成長できたのではないか。
――テレビ自体は、若い人がリアルタイムで見なくなってきています。
若者のテレビ離れも伝えられるが、デバイスの種類が増えたので、それは当たり前だと捉えている。地上波や衛星放送にネットも含めて考えれば、コンテンツの見られ方や方法が変わったのであって、コンテンツ全体の視聴量はそれほど下がってはいないはずだ。TVerの見逃し配信では、時間や場所を選ばずにテレビ番組を見ることができるようになり、(テレビ番組の)視聴スタイルも変わってきたと考えている。結局、(テレビから見られなくても)特に価値があって多く見られているのは、テレビ局がつくったコンテンツだ。
様々な進歩の積み重ね
――テレビ番組の配信ならではの工夫は。
TVerは基本的に放送後1週間のみの配信だが、22年のドラマ『silent』(フジテレビ)では3話分を常設配信してみた。その結果、(見逃していたユーザーが、SNSで話題になっていることを受けて殺到し)第4話がブレークした。またバラエティーで最も見られている『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)は、ユーザーから「お気に入り」に登録され、季節に関係なく後から改めて視聴されている。番組の制作に限らず、コンテンツの置き方であったり、技術面であったりと、様々な進歩を積み重ねている。

大場洋士(おおば・ひろし)/ 1974年生まれ、福岡県出身。51歳。早稲田大学大学院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了。99年テレビ朝日入社。技術局制作技術センターでエンジニアとして従事し、地上波テレビ放送のデジタル化などにも携わる。KDDI出向等を経て、2020年テレビ朝日取締役IoTv局長就任。25年TVer社長に就任、現在に至る(撮影:今井康一)
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おおの かずゆきKazuyuki Ohno
ITや金融、自動車、エネルギーなどの業界を担当し、関連記事を執筆。資産運用や相続、年金、介護など高齢化社会に関するテーマでも、広く編集を手がける。Xは大野和幸。
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