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Tuesday, October 27, 2026

ベイブレードXの「ベイバトルパス」をリバースエンジニアリングして独自アプリを開発、AIがシュートの強さを評価してアドバイス

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タカラトミーの玩具「ベイブレードX」でシュートの強さを記録できる周辺機器「ベイバトルパス」の通信データを解析し、シュートの結果をリアルタイムで表示する独自アプリを開発した人物がその制作過程を公開しました。

Reverse engineering a Beyblade launch tracker - Simone's Blog
https://blog.simone.computer/reverse-beyblade-launch-tracker

開発したのはアイルランド在住のシモーネ・マルツッリ氏です。マルツッリ氏は2025年の夏にInstagramでベイブレードXの動画を目にしたことがきっかけで、子どもの頃に遊んでいたベイブレードに再び夢中に。地元のおもちゃ屋でスタジアムやベイブレードを購入し、友人たちと遊ぶほど熱中し、ついには大会に参加したり部品の組み合わせを研究したりするようになりました。そして、その過程でタカラトミーの「BX-09 ベイバトルパス」という周辺機器を発見したとのこと。

マルツッリ氏は日本からベイバトルパスを購入し、内部でどのような処理が行われているのかを調べ始めました。ただし、高価な機器を分解して壊してしまうことを避けるため、外部から観察できる仕組みとBluetooth通信の解析を中心に調査を進めたとのこと。

まず注目したのは、ランチャーの上部にある2つの穴です。一方の穴には、シュートすると回転する白黒の円盤があり、もう一方には、ベイブレードをセットすると押し上げられる小さな白いレバーがあります。ランチャーにベイバトルパスを取り付けると、このレバーがベイブレードの装着を検知するスイッチとして働きます。そして、ランチャーのひもを引くと白黒の円盤が回転し、ベイバトルパスのセンサーが回転速度を読み取ります。

マルツッリ氏はスマートフォンのフロントカメラを使って調べた結果、このセンサーが赤外線を利用している可能性が高いと考えました。つまり、白黒の円盤に反射した赤外線の変化を検出することで回転速度を計算し、シュートパワーとして記録しているというわけです。

続いてマルツッリ氏は、ベイバトルパスから送信されるBluetoothのデータを調査。ベイバトルパスをペアリングモードにすると「BEYBLADE_TOOL01」という機器名で検出でき、Bluetooth通信の解析ツール「LightBlue」と「PacketLogger」を使うことで、公式アプリを経由せずにシュートの記録を取得できることが判明しました。

取得したデータはそのままだと意味の分からない16進数の羅列でした。しかし、シュートを繰り返して数値の変化を比較することで、シュートするたびに増加するカウンターや、回転速度を表しているとみられる数値の特定に成功。


例えば、取得したデータには「a2 0c」という数値が含まれていました。これを通常の並びで解釈すると「41484」になりますが、2つの数値の順番を入れ替えて「0c a2」として計算すると「3234」という、実際のベイブレードの回転速度としても不自然ではない数値になりました。マルツッリ氏は「リトルエンディアン」と呼ばれる、数値を逆順に並べる方式が採用されていると推測。この規則に従ってデータを読み解くことで、マルツッリ氏はシュートの回転速度をRPM(1分間当たりの回転数)として取得できるようになりました。

さらに解析を進めると、過去のシュートの記録に加えて最高記録も保存されていることが分かりました。例えば、3234RPM、4194RPM、3477RPMという記録が並んでいる場合、4194RPMが最高記録として保持されます。最高記録を更新した際には、ベイバトルパスのLEDが通常とは異なるパターンで点滅することも確認できました

また、ベイブレードをランチャーに装着しただけの状態と、実際にシュートした状態では送信されるデータに違いがあることも判明。ベイブレードをシュートせずに外した場合は失敗として扱われ、シュート回数も増加しません。さらに記録できるシュートの履歴には上限があり、最大50回分まで保存されることもわかりました。51回目以降のシュートでは最も古い記録が削除され、新しい結果が追加されるというわけです。一方、シュートの累計回数は別に管理されており、過去50回分の記録とは区別されています。

マルツッリ氏はさらに公式アプリとベイバトルパスの通信を調べ、機器に対して特定の命令を送ることで、シュート履歴の取得、機器情報の取得、保存されたデータの消去を実行できることも確認しました。

こうしてベイバトルパスの主要な通信の仕組みを解明したマルツッリ氏は、その成果を利用して「DiZZi 0.2」という独自アプリを制作しました。アプリの名前とデザインは2001年に放送されたテレビアニメ『爆転シュート ベイブレード』の北米版『BEYBLADE』に登場したAIシステム「DiZZi」が元ネタになっているとのこと。

完成したアプリはベイバトルパスから受信したデータを使って、シュートの回転速度や過去の記録、最高記録、バッテリー残量などを表示します。画面には3Dモデルのベイブレードも配置されており、ベイブレードをランチャーに装着したり、シュートしたりすると、それに合わせてアニメーションが変化します。アプリにはローカル環境で動作するAIモデル「Gemma 3 1B」と、音声合成システム「Kokoro TTS」が組み込まれており、シュートを行うと直近の記録を基にAIが結果を評価し、DiZZiを模したキャラクターが音声でコメントしてくれます。

実際にDiZZiでベイブレードの計測を行いながらシュートする様子が以下のムービー。

DiZZi the AI from Beyblade ROASTS my launches! - YouTube

マルツッリ氏は小規模なAIモデルに数値計算を直接任せるのではなく、あらかじめプログラム側で計算した結果を渡す方式を採用。これにより、AIの計算ミスを避けながら、キャラクターらしい自然なコメントを生成できるようにしています。また、音声に合わせて画面内のエフェクトが動く演出も実装されています。生成された音声を解析し、声の高さや音の強さに応じて青やオレンジ色の炎のような光が変化することで、アニメに登場したDiZZiの表現を再現しているそうです。

マルツッリ氏は解析に利用した通信データとアプリのソースコードをGitHubで公開しており、未解明のデータについても他の開発者に解析への参加を呼びかけています。

syxanash/DiZZi: It's DiZZi 0.2 the y2k AI interface from Beyblade
https://github.com/syxanash/DiZZi

マルツッリ氏は「最近のお気に入りの趣味が日本のコマ回しだなんて、人に説明するのってたまに難しいですよね。客観的に見れば、人生の変な方向に進んでいるんじゃないかと思うこともあります。でも正直なところ、ここ数ヶ月は最高に楽しくてたまらないので、まあ大丈夫だと思います。Goシュート!」とコメントしました。

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