よみがえる過去の記憶、人は「未来のマドレーヌ」を集めながら生きている プルースト『失われた時を求めて』を読む(上) | ライフ | 東洋経済オンライン

ビジネスに効く名著のエッセンスを識者がコンパクトに解説する。【原則土曜日更新】
刑務所に入るか長く身を隠す機会でもないと読み通すことは難しい──。村上春樹の小説『1Q84』の登場人物は、『失われた時を求めて』についてこのように語っている。確かにそうかもしれない。マドレーヌから記憶がよみがえる序盤のシーンが有名だが、全7篇、文庫で13巻もある。ここまで長大な小説を読破するのは大変そうだ。
けれど安心してほしい。プルースト研究者は、あらすじや解説を先に読んでも構わないと言う。第1巻から最終巻へ飛んでもよい。なぜなら、筋を知っても読んだことにはならないからだ。
では何が書かれており、何を読むべきか。まずは記憶である。
マドレーヌをきっかけに物語の扉が開いてゆく
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きぬがわ りかRika Kinugawa
文芸春秋で翻訳書の編集に長年携わる。担当作に『イーロン・マスク』『AI2041』『因果推論の科学』『人間には12の感覚がある』『Humankind 希望の歴史』など。
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