[ITmedia エグゼクティブ] 突然お腹がぎゅるぎゅる…間に合わず?大失敗? 悲しい経験が生んだ街のトイレ予約アプリ
レストパスが開発したスマートフォンアプリの画面。地図上で近くのトイレを検索してパスを購入すると、5分間利用できる(同社提供)
花火大会などの野外イベントでトイレを探し回ったり、長い行列に困ったりした経験はないだろうか。スタートアップ企業「レストパス」(大阪市中央区)は、〝緊急事態〟の際、近くの飲食店などにあるトイレをスマートフォンで予約できるアプリ「レストパス」を開発している。新たに公衆トイレを整備するのではなく、既にある設備を有効活用するというアイデアで、不便解消と店舗の集客を同時に目指す。
同社はNTT西日本でビジネス向け電話などのサービスに携わってきた磯谷拓郎さん(43)=レストパス代表取締役=が、令和7年8月に起業した。磯谷さんには忘れられない記憶がある。
レストパス代表取締役の磯谷拓郎さん
「学生時代に繁華街で催して何カ所もトイレを探して回ったんですが、どこもいっぱいで〝大失敗〟してしまったんです…」
約20年前のトラウマ。テクノロジーが進んだいまもトイレの行列問題は解消していない。悲しい経験をする人を救うことがアプリ開発のきっかけだった。
アプリはトイレを提供してもよい飲食店などに登録してもらい、地図上で表示。利用者がスマホで検索すると現在地からの距離や利用料金、バリアフリー設備などが表示され、各種決済方法でパスを購入。店舗で画面を見せると5分間トイレを使える仕組みだ。
トイレの利用料が清掃費や管理費などに充当され、店側にとっては、立ち寄ったついでに買い物をしてもらったり、新たな顧客の開拓につながるというメリットもある。料金は店側が設定できるが、磯谷さんは「5分は目安。超えても追加料金はかかりません。将来的には1回160~170円程度(が相場)になるのではないか」と予測している。
10月の「浦和美園まつり&花火大会」ではさいたま市と連携。レストパスのトイレカーと近隣の自動車ディーラー、レストラン、美容室の3カ所の施設で1回100円の実証実験を行った。約4万人が来場したこのイベントでは、計186回の利用があったという。
「浦和美園まつり&花火大会」ではトイレカーも出動して実証実験が行われた(レストパス提供)
公衆トイレに行列ができる中、アプリ利用者の予約画面がまるで「ファストパス」のような機能を果たし、待ち時間も発生しなかった。イベント来場者の約0.5%が利用した計算になり、磯谷さんは手応えを感じたという。
磯谷さんは「トイレのきれいなお店はモテるので、戦略的な使い方も可能。百貨店や量販店で一部のトイレを有料化することで、お得意さまの満足度を高めることもできる」とさらなる可能性を探る。今後はアプリの改良を重ね登録店舗を1500店程度まで拡大。9年度中に正式版をリリースし、その2年後には登録店舗を1万6000店まで増やしたいという。
トイレは生活に欠かせない設備だとはいえ、店舗側にとっては衛生や防犯面での懸念があり、開放にはリスクが伴う。
しかしアプリを通じた利用者管理によってこうした懸念が払拭され、利用者と店舗の双方に利益がもたらされる。街に既にあるトイレを「共有できる資源」と捉え直す。
この試みが、都市の新たな生活インフラとして定着するか注目される。(中野謙二)
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