VRを利用することで手術前の子どもたちの不安を減らせるかもしれない
Virtual reality tied to lower presurgery anxiety in kids
https://medicalxpress.com/news/2026-11-virtual-reality-presurgery-anxiety-kids.html
アメリカ・コモンウェルス大学薬学部のダヤンジャン・ウィジェシンハ氏らは、手術前の子どもが感じる不安を取り除く方法として、副作用のある鎮静剤の代わりにVRを使うという発想に至りました。
調査にあたって、研究チームは仮想空間に視線やコントローラーの入力に反応するおもちゃや物体を含む子ども部屋を作り、被験者の年齢に応じたコンテンツが表示される仮想テレビを配置しました。子ども部屋は不安軽減につながる暖色系の配色が用いられ、同じく落ち着くようなゆったりしたテンポのBGMが流されました。また、砂浜のシーンには穏やかな波や風に揺れるヤシの木、空を流れていく雲といった自然の要素と穏やかな環境音が取り入れられ、照明は視覚の疲労を最小限に抑えるような工夫がなされました。
さらに、VR空間内を移動した際の不快感(VR酔い)を最小限に抑えるため視点は固定式となっていて、別のシーンへの移動には加速を伴わない、テレポーテーションのような瞬間移動方式が採用されました。
これらの設計が有効かどうか、まず15人の子どもを対象としたパイロットテストが行われ、不快感や吐き気などの報告はゼロだったとのこと。
調査対象となったのはリッチモンドの小児病院で手術を受ける予定の6歳から15歳の子ども80人で、Meta Questを使って研究チームの作った仮想空間に入る前後に心拍数と血圧、自己申告による苦痛感・恐怖感が記録されました。
9カ月にわたって調査を行った結果、苦痛の中央値は0から10までのスケールで3.0から1.0に低下し、恐怖も0から4までのスケールで1.0から0.0に低下しました。計測した心拍数も平均で5.8低下、血圧も4.1mmHg低下したとのこと。
実際にVRを体験した子どもたちは「またVRを使いたい」と回答。また、ほとんどの親が「VRを使うよう勧める」と答え、看護師は「VRは自分たちの仕事にかんたんに導入可能」と回答しました。副作用はほとんどみられませんでした。
全体的に肯定的な評価を受けた実験ですが、ウィジェシンハ氏らは効果を比較する対照群を作らなかったため、改善がVR自体によるものなのかそうではないのかについては対照実験の実施が必要だと述べています。
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