日本にCIA型の秘密情報機関は不要、国家情報局に求められるのは将来予測ができる「頭脳集団」だ | キャリア・教育 | 東洋経済オンライン

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
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日本では国際危機が起きるたびに「日本にはCIA(米中央情報局)のような対外情報機関がない」という議論が出てくる。確かに日本にはアメリカのCIAやイギリスのMI6(秘密情報部、SIS)に相当する、対外人的情報活動を専門とする独立機関はない。しかし筆者は、「日本版CIA」を新設すれば日本のインテリジェンス能力が向上する、という単純な考え方には慎重である。
2006年、手嶋龍一氏との対談で筆者は「日本版CIA創設より50人のインテリジェンスオフィサー養成を急げ」という主旨の主張をした。インテリジェンス機関で最も重要なのは組織ではなく人間だからだ。ロシアを分析するならロシア語だけでなく、ロシアの歴史、政治、宗教、文学、軍事、安全保障、ロシア人の思考様式を理解しなくてはならない。そのうえで政府関係者、外交官、軍人、学者、ジャーナリストなどとの人間関係を長期間かけて形成する。中国でも中東でも同じだ。こうした専門家の育成には10年単位の時間が必要になる。だから筆者は「日本版CIAをつくる前に50人のプロをつくれ」と考えたのである。
佐藤優氏によるコラム。ビジネスパーソンに真の教養をお届け。【土曜日更新】
もう1つ重要なのは、「情報(インフォメーション)」と「インテリジェンス」は異なるということだ。新聞記事、外交電報、衛星画像、通信情報などを大量に集めるだけでは国家の政策判断には使えない。重要なのは、異なる情報を組み合わせ、その意味を読み解き、将来を予測することである。
例えばドイツの国防費増額に対しては、アメリカがヨーロッパへの関与を縮小する可能性や中国とロシアの接近、ウクライナ戦争の長期化などを組み合わせれば「3年後、5年後、ドイツはどのような国家になっているのか」という問いが生じる。これに答えることがインテリジェンスである。
「日本版CIAを持てばインテリジェンス能力が向上する」というのは幻想
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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
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さとう まさるMasaru Sato
1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。
2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)
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