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Monday, October 5, 2026

台風25号で30時間停電した 住宅用蓄電池が役に立ってしまった【オタク家を買う】

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市のLINEアカウントからも停電の通知が来ていた

今年、千葉県では何度も水害が発生している。千葉は台風の通り道にもなりやすく、もともと気象災害は多いが、それにしても今年はハズレ年と言えるくらい気象災害が発生している。筆者が2023年に千葉県木更津市へ移住してきてから3年半、豪雨は何度かあったが、2026年9月21日に千葉県をかすめた台風25号は、最大の影響があった。

筆者宅は房総丘陵エリアの高台の縁にあるので、浸水の危険性はない。近隣には土砂崩れを起こすような急斜面が多数あるが、自宅の斜面は角度が緩やかで危険性は高くない。台風接近の中、不用意に外出する方が危ないので、自宅で大人しくしていよう、と思っていた21日の夜、自宅で停電が発生した。

最初の停電はすぐに復旧した。10分未満の停電はこれまでも何度かあったから、「またか」くらいの感覚だった。しかし2度目の停電は復旧しなかった。家の外を見ると、付近の家の明かりがほぼすべて消えている。そこそこ規模の停電が発生している。

停電が発生したのは21日の19時ごろ。ここから翌々日の午前1時までの約30時間、この停電が継続することになる。

注文住宅を作ったオタクの記録(不定期)。1年半ぶりに復活

あってよかった蓄電池 足りなかったのは動作確認

我が家は太陽光発電パネルに加え、住宅用蓄電池も設置されている。どちらも家を建築するときに設置した。ポータブル電源ではない。住宅の電気系統に組み込まれており、コンセントなどに電気を供給できる、住宅設備としての住宅用蓄電池だ。

手前の四角いデカい箱が蓄電池。家の裏にある

住宅用蓄電池には、大きく分けて2種類ある。ひとつは容量と出力と価格が大きく、停電時には家中のコンセントに電力を供給できる「全負荷型」と呼ばれるタイプ。もうひとつは容量と出力が小さく、停電時には緊急用配線済みコンセントにだけ電力供給できる「特定負荷型」と呼ばれるタイプだ。

筆者宅にある蓄電池は特定負荷型である。2022年に購入契約したときの価格は、4.2kWhの特定負荷型で約57万円だった。全負荷型の価格については正確には覚えていないが、6.5kWhの全負荷型にすると70万円くらいプラスになっていたと思う。最近の住宅設備は、過去の価格を見るのが「毒」になるくらい高騰が続いているので、現在はもっと高くなっていると思うが、Ankerなど新規参入企業はそこそこ安いらしい。

通常時、家の電力は東京電力の系統に接続し、そこから電力を受け取ったり、逆に太陽光発電の電力を送ったりする「連系」というモードになっている。停電時は、自宅を東京電力の系統から切り離す「自立」モードに切り替える必要がある。そうしないと蓄電池や太陽光発電からの出力が電線に流れ込み、復旧中の作業員を感電させたり、近隣一帯に流れ込んで過負荷となって瞬時に停止してしまうからだ。

台所の裏、パントリー壁面のパワコンなどのリモコン類。点灯してるのがパワコンのリモコン

連系・自立の切り替えは、太陽光発電や蓄電池の直流電流を系統の交流電流と相互変換する「パワーコンディショナー」(パワコン)のリモコンで行なう、と思っていたのだが、リモコンで切り替えても、電力は供給されなかった。

停電発生時にはすでに蓄電池の残量が少なく、停電も寝ている間に解消されるかもしれなかったので、そのまま寝てしまった。しかし翌朝、起床したときにも、停電は続いていた。

一晩経っても復旧していないということは、軽度な障害ではなかったということだ。電力会社が道の啓開や倒木の撤去など、時間のかかる作業をやっている可能性が高い。時間がかかるなら、蓄電池を使いたい。幸いにも台風一過の晴天で、太陽光発電で充電された蓄電池は満充電に近い。

困ったときは生成AIだ。

散らかりきっているシュークロークに分電盤類がある。片付けられる人になりたい人生だ

Gemini師匠に聞いてみたところ、連系と自立の回路を切り替える「特定負荷機器切替のスイッチ」なるものが怪しいとわかった。なるほど、分電盤の近くに蓄電池のブレーカーとそれらしき切り替えスイッチがある。

OFFとなっていたブレーカーをONに切り替え、切り替えスイッチを自立側に切り替えたところ、緊急時向けに配線されている和室、トイレ、パントリー、分電盤コンセントの電力が復旧した。電子的に切り替えできると勘違いしていたが、機械的な切り替えスイッチ操作が必要だったというわけだ。

Geminiに言われて再発見した蓄電池の切り替えスイッチ

そういえば3年前、家の引き渡し時にこの辺りのスイッチの説明があったような気もするのだが、3年間、一度も使ったことがなかったので、全く失念していた。災害に備えてこうした機器の動作確認をしておくのは重要である。

蓄電池容量と消費量はいい感じ 発電量は晴天だとかなり余剰あり

和室でいくつかのデバイスを充電しつつ扇風機を使ったところ、リモコンに表示される総消費電力は0.2〜0.3kWくらいになった。炊飯器の炊飯中は瞬間的に1kWを超えたが、ほんの一瞬だった。一方、ほぼ何も使っていない状態でも0.1kWを切ることはほぼないので、冷蔵庫の消費電力がそこそこあると推測される。

自立稼働後の消費電力。蓄電池充電に1.87kWも使っているが、消費は0.28kW

筆者宅の太陽光発電は定格出力で8.16kWで一般家庭としてはやや大きめだ。実効出力が8kWを超えることは滅多にないが、晴天の正午近くだと6kWくらい、曇天でも2kWくらいは発電できる。緊急系統だけで消費する0.3kW程度に比べると、発電能力は文字通り桁違いに大きいので、余剰電力で十分に蓄電池を充電できる。晴天の正午前後なら、消費電力が大きめの家電も追加で使えそうだ。

満充電になると消費分しか発電しないが、実際には5kWくらいは余裕で発電する

蓄電池は4.2kWhなので、晴天時はすぐに満充電になるし、ちょっとした曇天でも日没までには満充電になるだろう。日没時点で満充電になっていれば、大電力が必要な家電を使わない限り、一晩持つ。試していないが、よほどの荒天が続かなければ長期停電でも対応できそうだ。

今回は無警戒なまま台風を迎えてしまったので、停電発生時にほぼ充電切れの状態だったが、これは大きなミスだった。台風の前には買電してでも充電し、日没以降も使わずに停電に備えて温存するべきだった。

和室を緊急用系統に指定した過去のワイ、天才だった

電力供給された和室は、和室と呼んでいるが、実際には市販の畳ボックスとコタツテーブルを並べただけの、いわゆる畳コーナーだ。可動扉で部屋として区切れるが、普段はリビング・ダイニング・キッチンとつながっている。富士山が見える大きな窓もあり、非常に開放感がある自慢の空間だ。

停電発生直後の和室。このときはLEDランタンを使っていた

筆者は平時からこの和室で過ごすことが多い。キーボード付きのiPad Airで原稿を書いたり(この原稿もほとんど和室で書いている)、ゴロゴロしながらiPad miniでYouTubeを視聴したり、スマホでゲームをしたりする。この和室は冬ならコタツ、夏なら扇風機が使える。これ以上、何を求めればいいのだろうか。

太陽光発電と住宅用蓄電池のない住宅では、停電すると、家でスマホなどの充電残量を気にしながら過ごすか、あるいはスマホの充電ができる避難所や商業施設、スーパー銭湯などに避難することになるだろう。

和室コーナーからの風景。晴れた日には富士山が見える。雨でも昼間は照明不要なくらい窓が多い

しかし我が家はというと、停電しても自宅の定位置で普段使っているデバイスをそのまま使える。充電残量を気にすることなく、ほぼ普段通りに自宅で過ごせる。よほどの荒天が続きでもしない限り、停電が長期間続いても大丈夫だ。

被災時、自宅に留まってほぼ普段通りの生活ができることには、大きな価値があると感じた。被災しにくい立地、被災しにくい家の作りが大前提だが、それらの条件が揃っていれば、太陽光発電と蓄電池には大きな価値があると思う。

2016年の熊本地震や2024年の能登地震では、建物倒壊など直接的原因で亡くなった人より、避難生活で体調を崩して亡くなる、いわゆる「災害関連死」の方が多かった。亡くなったのは高齢者が中心だが、若い人でも避難所生活で体調を崩したり不快な思いをすることは多い。家が倒壊したりしないことは大前提だが、被災後に避難所でなく自宅で生活できること、いわゆる在宅避難できることも重要なのだ。

使えてよかった機器たち

蓄電池からの電力は、分電盤内のコンセントにも供給されたため、光回線のモデムとWi-Fiアクセスポイントも再起動し、固定ネット回線も使えるようになった。これがかなり大きかった。

分電盤というかLAN配線盤のコンセントに供給されたため、無理矢理詰め込んだモデムやルーターが復帰した

携帯電話各社の電波は使えていたが、普段通りに使おうとすると、パケットがいくらあっても足りない。筆者のようなネット中毒オジサンにとって、固定ネット回線が使えることは、ストレスない生活における最重要項目だ。

ちなみに我が家は衛星ブロードバンド通信サービスのStarlink端末も備蓄してあるが、契約はしていないので、有事にすぐに再契約できるかよくわからない。災害対策訓練がてら試してみたいが、いま月額料金が高くて気軽に試せない。

ネットだけでなく水道が通常通り使えたのもありがたかった。浄水場は停電しなかったか非常電源が維持されたと思われる。おかげでお湯も使えた。筆者宅は給湯器にエコキュートを導入しているのだが、タンク内のお湯は停電でも上水道の水圧で屋内配管に送られる構造なので、断水していないなら、タンク内にお湯が残っている限り、使い続けられる。

ただし、タンクの加熱ができないので、使っているうちにお湯らしいお湯ではなくなるはず。停電中に2回、シャワーを浴びたが、水栓の温度設定はぬるい水くらいまで下げて使った。また、停電中はエコキュートの温度調整機能が停止するので、お湯だけの水栓だと熱湯が出てやけどの危険性がある。電気を使わないサーモスタット付きの水栓であれば適切な温度になるが、そうでない場合は100%水からゆっくり温度調整して利用しよう。

なお、断水した場合、エコキュートのタンク内のお湯は緊急用水栓から取り出せる(お湯なのでやけどやバケツの変形には注意)。筆者宅のエコキュートの容量はたしか370リットルなので、1日10リットル使っても1カ月くらい持つ計算だ。合わせて非常食や簡易トイレも1週間以上持つように備蓄している。そのあいだに水道や食料流通が復旧するか、あるいは疎開するかの判断ができるだろう、と計算している。

停電中に活躍したLEDランタン。こういった充電式機器も役に立った

蓄電池からは冷蔵庫にも電力が供給された。これも非常に大きい。冷蔵庫が使えなくなって中の食材がダメになることは、中長期の停電で必ずぶつかる問題だ。住宅用蓄電池を設置できなくても、ポータブル電源で冷蔵庫を動かしたり、バッテリ式冷蔵庫を用意しておくのも災害対策として有効かもしれない。

筆者宅はオール電化なので、都市ガスが使えていたかはわからない。カセットガスコンロは持っているが、換気が停止している室内で使いたくない。しかしコンロ以外の調理家電は、和室のコンセントで使える。今回の停電では炊飯器を使ったが、意外と省電力で、曇天でも昼間なら問題がなく使えそうだった。

筆者は普段、炊飯器で作る「沼」と呼ばれる料理をアレンジしつつ食べている。コスパ・タイパ・栄養バランスに優れていて、食事の彩りが致命的に欠けていることを除けば最高の日常食だ。炊飯器しか使わないので、今回の停電中もいつも通りに作って食べられた。

停電中は信号機も動いてないので、交通量の多い交差点はそれ自体が渋滞の原因になる

実は停電中、面倒だから外食しようとクルマで出かけたのだが、複数の道路が土砂崩れで通行止めとなって深刻な渋滞が発生していて、途中で外食を断念している。その点でいうと、自宅で調理ができたのは本当に助かった。

エアコンは使えないが、扇風機やコタツは使えるので、真冬・真夏でなければそこそこ快適に過ごせるハズだ。台風一過の晴天で停電中の夕方は室温がそこそこ上がったので、扇風機は助かった。ちなみにペットを飼っている家庭には在宅避難は重要だが、汗腺のない猫や犬は扇風機にあたっても体温を下げることはできない。冷蔵庫は使えるので、暑い日は保冷剤などを活用しよう。

使えなくて微妙に困った機器たち

停電中に使えなくて困った機器もいくつかある。

まずはドアベルだ。誰も来訪者はいなかったと思うが、ドアベルが押されても反応できないのは困りものである。ドアベルの電源は玄関にあり、電力供給されている分電盤から3mほどだから、延長ケーブルを延ばす手もあるので、長期停電になるケースでは別途、対応するべきかもしれない。

あとはWi-Fiのメッシュ中継機が使えなかったのも微妙に困った。というのも、我が家は南北に約17.5mと細長く、Wi-Fi親機は南東の玄関にあるため、家の北側だとWi-Fiが弱いのだ。蓄電池で電源供給されるパントリーにメッシュ中継機を移動させることを検討したい。

台風直前に洗濯していたから問題なかったが、中長期の停電では、洗濯機を回せるほうが良いな、と感じた。我が家の洗濯機はドラム型の乾燥機付きなので、そこそこの消費電力があるが、晴天時の発電能力はその数倍ある。ただ、緊急用コンセントから洗濯機までは10m以上あるので、ゴッツい延長ケーブルを備蓄しておく必要がありそうである。

台所の水栓は内部の手動弁を回すことで手動操作が可能になった

あと地味に不便だったのは洗面台の自動水栓だ。台所の自動水栓は、緊急用バルブを開放すると手動操作できるのだが、洗面台には緊急用バルブがなかった。なお、洗面台の自動水栓は日常生活において果てしなく便利なので、災害に備えて自動水栓を避けるべきとは微塵も思わない。

停電は23日の午前1時ごろ、前触れもなく解消された。21日19時ごろからなので、だいたい30時間で復旧したことになる。深夜までの復旧作業には深く感謝と敬意を表したい。日本のインフラと土木は偉大だ。

今回は千葉県を中心に最大6万軒以上が停電し、関東近県から東京電力の復旧チームが集結したらしい。それもあって市街化区域にある筆者宅は、1日ちょっとで停電が復旧した。

台風25号では木更津市あたりからいすみ市あたり、千葉県の地理に詳しくない人向けに説明すると、チーバくんの腹部から臀部にかけての房総丘陵エリアで豪雨となった。複数地点が48時間降雨量で400mmを超すなど、観測史上最大を記録している。過去例のない降雨量で房総丘陵の山林はスポンジのように柔らかくなり、多数の土砂崩れが発生している。

筆者宅の停電も土砂災害で誘発されたものと思われる。房総丘陵全域で無数の土砂崩れが多発し、1週間以上が経過した本稿執筆時点でも電力や道路が復旧していない現場も多数あるようだ。

房総丘陵エリア以外では、チーバくんの目にあたる印旛沼の堤防が決壊・氾濫した。8月には局所的な豪雨でチーバくんの首周辺で都市型の水害が発生している。少し過去の例で言うと、2019年の台風15号(令和元年房総半島台風)ではチーバくんのほぼ全身で強風による被害があり、最長2週間の停電が発生した。

チーバくん、じゃない千葉県は広大で、さまざまな地形があることから、さまざまな気象災害が発生しうる。みんなもチーバくんを応援して欲しい。

しかし千葉に限った話ではない。気候変動により世界中で気象災害の頻度も規模も増大しており、過去になかったような想定外の気象災害が発生する可能性もある。杞憂とはいうが、過去最大・想定外の降雨は、もはや天が落ちてくるようなものだ。気象災害対策は杞憂するくらいが必要な時代なのかもしれない。

住宅用蓄電池、導入するべきかというと

筆者宅の住宅用蓄電池は、停電時の在宅避難に役立った。しかしこれがないと命に関わるという設備ではなく、そもそも戸建て向けで、災害によって被害を受けないような立地・建物でないと導入意義が小さく、それでいて導入コストも高額なので、手放しでおすすめできる住宅設備ではない。蓄電池と太陽光発電を組み合わせると、発電できない時間帯の買電を減らせるが、そちらの経済効果は誤差レベルだ。

晴れた日は余剰電力を売電する。補助金込みで考えると6年くらいで元が取れそう

蓄電池の寿命を15年とすると、その期間中に停電が発生する可能性は極めて高く、ほぼ確実に役立つ瞬間がやってくる。しかし今回のような1日程度の停電なら、ポータブル電源などでも耐えられる。住宅用蓄電池と太陽光発電の組み合わせが真価を発揮するのは、1週間以上の長期停電だ。住宅自体が無事なら、長期停電が伴うような大災害でも普段に近い生活のまま在宅避難できるのはかなりの強みとなる。

我が家は太陽光発電の容量がデカいのでパワコンが2つある。こういうのも高コストになる要因

例えば南関東エリアであれば、想定される大規模かつ広域の災害、南関東直下地震や南海トラフ地震が発生すると、電力などのインフラは長期間、停止する可能性がある。こうした災害で数週間と停電が続くようなら、太陽光発電+蓄電池の組み合わせは、高いコストに見合う価値を発揮してくれる。

住宅関連の数百万円規模の災害対策としては、蓄電池以外にもV2Hや別荘購入などいろいろなものがある。それぞれメリットとデメリットがあり、一概にどれがいいとは言いにくい。しかし、いずれにせよ災害対策はコストがかかる。やろうと思ったら天井知らずだ。最終的にはどこかで妥協する必要がある。

しかし、日本のほとんどのエリアにおいて、30年くらいのスパンを見ると大規模災害に遭う可能性は極めて高い。災害で失われる可能性のある命や健康、財産に比べると、数百万円規模の災害対策は、適切に投資できればコスパが良い。これから戸建て住宅を買う人、建てる人、リフォームする人は、被災時に加え被災後のことも考えながら、災害対策に投資しよう。

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