米政権「ばらまき」露骨 財政不安や物価高に拍車も―中間選挙
【ワシントン時事】米中間選挙を来月3日に控え、トランプ政権が「ばらまき」政策を露骨に推進している。トランプ大統領は与党共和党が上下両院を制すれば、成人の全国民に1人当たり5000ドル(約79万円)を配ると表明。大胆な物価高対策を掲げて選挙戦を有利に運ぶ思惑がある。だが、財政不安やインフレ加速に拍車を掛け、市民生活をかえって圧迫しかねない。
政権は9月以降、高齢者向け公的医療保険の加入者のうち2000万人を対象に1人当たり90ドル(約1万4000円)の支給なども打ち出した。政権が重視する人工知能(AI)データセンター建設を巡り、住環境悪化への懸念から反対論が噴出する中、周辺住民に現金を配る案も浮上している。
なりふり構わぬ「ばらまき」の背景には、経済政策の評判の悪さがある。CNNの世論調査によると、トランプ氏の経済運営に賛同すると答えた割合は27%にとどまった。
米イラン紛争に起因したガソリン高への不満の高まりを受け、経済政策で巻き返しを狙うトランプ氏は遊説先で5000ドル給付に繰り返し言及。「5000ドル(の財源)を生み出すことは簡単だ」と言い張るが、40兆ドル(約6300兆円)の大台を突破した連邦政府の債務は膨らむばかりで説得力に欠ける。野党民主党は「カネで票を買う」行為だと反発している。
超党派で政策提言するシンクタンク「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」によると、コストは1兆2000億ドル(約190兆円)かかる見通しで、景気刺激を目的にコロナ禍で実施した現金給付の約1.5倍に上る。インフレ高進や金利上昇を誘発し、「一般家計の生活費が増える」(CRFB)可能性がある。
民主党が下院を制するとの見方が広がり、当初は共和党優位とみられていた上院でも多数派をうかがう展開。トランプ氏が5000ドル給付を強硬に推し進めたとしても「共和党が大幅な歳出削減をセットで求める」(エコノミスト)といった指摘もあり、議会との合意形成は困難を極めそうだ。
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