ロシアのIT大手・Yandexのデータセンターがウクライナのドローン攻撃で大規模炎上、AI開発用スパコン2基も被災の可能性
10月8日未明に発生したドローン攻撃によって施設で火災が発生し、Yandexはデータセンターの稼働を全面的に停止しました。記事作成時点で死傷者は報告されていません。
以下の動画は攻撃後のデータセンター周辺で発生したとされる火災を撮影したものです。建物付近から大きな炎と煙が上がる様子が確認できます。
データセンターの停止に伴い、Yandexのクラウドサービス「Yandex Cloud」にも障害が発生しました。Yandexはデータセンター内の稼働区域「ru-central-b」で電力供給に問題が発生したと説明し、顧客に対して別の稼働区域を利用するよう案内しました。検索や配車サービスなど主要な消費者向けサービスは稼働を維持したとしていますが、メールやオンラインストレージ、文書編集サービスなどで障害が報告されています。
さらに不動産情報サイト「Cian」、電子書籍サービス「Litmarket」、ロシア鉄道のウェブサイト、サッカークラブ「スパルタク・モスクワ」のサイトなどにも影響が広がりました。モスクワ州のバス運行会社はデータセンターの一時停止によってオンライン乗車券の販売ができなくなったと説明しています。
ロシアの障害監視サービス「Detector404」には24時間で5万8268件の苦情が寄せられたとのこと。ただし、報告された障害のすべてが今回の攻撃に起因するかどうかは明らかになっていません。
攻撃を受けたサソヴォのデータセンターには、YandexがAIの開発に使用してきたスーパーコンピューター「Chervonenkis(チェルヴォネンキス)」と「Lyapunov(リャプノフ)」も設置されていると報じられています。
チェルヴォネンキスは2021年のスーパーコンピューター性能ランキング「TOP500」で世界19位に入った実績を持ち、Yandexが開発する大規模言語モデル「YandexGPT」などの学習にも利用されてきました。しかし、ロシアは先端半導体の輸入制限に直面しており、AI向け計算設備の増強が難しくなっています。仮にスーパーコンピューターが破損していた場合、同等の設備を調達して復旧させることは容易ではないとみられます。
サソヴォのデータセンターは工作機械メーカー「Sasta」の工場敷地内にあります。Sastaはロシアの防衛産業にも機械を供給しており、2024年からイギリスの制裁対象となっています。ウクライナ側が狙ったのがYandexのデータセンターだったのか、Sastaの工場だったのかは判明していません。
また、ロシアは2026年9月下旬からウクライナのデータセンターや通信設備への攻撃を続けており、複数の施設が被害を受けています。ロイターによると、ウクライナは攻撃から設備を守るためにデジタルインフラを地下へ移す取り組みを進めているとのこと。
データセンターへの攻撃が相次ぐ中、ロシア国内の企業の間でも比較的友好的な国にデータセンターを建設する案が検討されていると報じられています。Yandexは被害を受けたサービスの復旧作業を進めていますが、サソヴォのデータセンターについては設備を復旧できるかどうかも不明だと説明しています。
データセンターへの攻撃は株式市場にも影響を及ぼしており、Yandexの株価は10月8日の取引で一時3.4%下落しました。
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