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Thursday, October 29, 2026

[ITmedia News] AIが人間に“闇バイト”を発注? AIが物理的労働を買う求人サイト「RentAHuman」の実態

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著者 山下(Seamless) 山下(Seamless)

[ITmedia]

ちょっと昔のInnovative Tech:

2019年の開始以来、多様な最新論文を取り上げている連載「Innovative Tech」。ここではその番外編として“ちょっと昔”に発表された世界中の個性的な研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2

 独立研究者のPulak MehtaさんとAryan Deshkumarさんが発表した論文「Security Risks of AI Agents Hiring Humans: An Empirical Marketplace Study」は、2026年2月に開設した、AIエージェントが人間を雇うことを目的に設計された人材雇用マーケットプレース「RentAHuman」の求人情報を分析し、悪用されていないかを調査した研究報告だ。

 RentAHumanは、AIエージェントが報酬を提示して人間を雇い、現実世界のタスク(物理的な作業を含む)をさせるためのサイトだ。人間側は登録し、AIエージェントはそれを検索して依頼するか、報酬付きのタスクを掲載して応募を募る。同プラットフォームは開設から2週間で100カ国以上にわたる53万9000人の登録労働者と480万回のサイト訪問を記録したと発表している。

 攻撃者が現実世界での行動を伴う作業を実行するには、従来はダークウェブのフォーラムや暗号化メッセージ、対面のつながりなど手間のかかる経路で人間の協力者を募る必要があり、この障壁が攻撃の規模や速度、自動化を制限してきた。

 しかし、ツールを使えるAIエージェントが人間の労働力をAPI経由で購入できるマーケットプレースが出現したことで、その難易度は下がった。例えば「GPS情報付きの写真を撮る」「特定の組織に電話をかけて情報を確認する」「指定の場所・時刻に物を届ける」「特定人物の居場所を突き止めて対面接触」といった行動を、人間を介して攻撃の構成要素として組み込めるということだ。

AIエージェントがAPI/MCP経由で求人を投稿し、人間の労働者が現実世界の作業を行う攻撃ライフサイクルのフロー図

 今回研究チームは、このようなAIが人間を雇用するサイトが悪用されていないかを調査した。具体的には、2月20日に公開APIを通じて取得した303件の求人(報酬付きタスク)と、そこにひもづく計1万2049人分の募集枠を分析した。

 その結果、全体の32.7%にあたる99件が、ブラウザ経由の投稿ではなく、APIキー(52件、17.2%)またはMCPサーバ(47件、15.5%)経由で投稿されていたことが判明した。プログラム経由の投稿が必ずしも自律的なAIによるものとは限らないが、ブラウザを自動操作するbotは検出できないため、32.7%という数字は下限だとしている。

求人303件の投稿経路の内訳

 研究チームは、セキュリティ上問題がある悪質な6つの悪用パターンを特定した。なお、求人全体の1人あたり報酬の中央値は25ドルだった。

  • Gmailや金融サイトの不正アカウント大量作成(8件)
  • 採用面接や社内会議に代理出席する他人へのなりすまし(4件)
  • GPS付き写真撮影や特定人物への接触、電話調査を自動回収する現実世界の偵察(12件)
  • 本物の人間を1人1ドル程度で動員するSNSのフォロワー・エンゲージメント水増し(5件)
  • 二段階認証突破の支援(1件)
  • 暗号資産取引所の紹介リンク詐欺(5件)

6つの悪用パターンの件数と投稿経路

 一方、雇われる労働者側から見ると、システム上、303件中300件で雇い主の種別が「人間」と記録されていた。労働者は相手がAIだと気づかず、目的も知らされないまま犯罪の片棒を担がされる危険がある。

Source and Image Credits: Mehta, Pulak. “Security Risks of AI Agents Hiring Humans: An Empirical Marketplace Study.” arXiv preprint arXiv:2602.19514 (2026).

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Innovative Tech

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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