真核生物に近い古細菌、特徴解明 周囲のたんぱく質が栄養源、突起で共生―千葉の天然ガス井戸で採取・海洋機構
動植物などの真核生物に最も近いタイプの古細菌を千葉県の天然ガス(メタン)生産用の井戸から新たに採取、培養して特徴を明らかにしたと、海洋研究開発機構の井町寛之上席研究員や延優主任研究員らが28日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
本体は球状で、内部は骨格となる繊維状構造や有害な活性酸素を抑える顆粒(かりゅう)が目立つ程度だが、外側に細長い突起が多数あり、動くことができる。他の微生物の死骸や分泌物のたんぱく質を吸着、分解して栄養源にしているとみられるほか、突起で別のタイプの古細菌(メタン生成古細菌)を捕らえ、生存に必要な物質をやりとりして共生することが分かった。
真核生物の細胞にはDNAが入った細胞核のほか、エネルギー物質のアデノシン三リン酸(ATP)を生産するミトコンドリアなどの小器官があり、複雑な構造をしている。ミトコンドリアは大昔には単独の細菌であり、古細菌に取り込まれて真核生物が誕生したとの見方が強い。研究成果は進化過程の解明に役立つと期待される。
このガス生産用の井戸は昔の海水がメタンを含む地下水として間欠的に噴出している。採取した古細菌は全遺伝情報(ゲノム)解析で真核生物に最も近いと近年判明した「ヘイムダル古細菌」と呼ばれるグループに属している。
延主任研究員は「この古細菌は酸素がある環境を嫌うが、酸素を消費する細菌と共存させれば耐えられることが分かった。太陽光が届く浅い海底など、光合成を行う微生物が酸素を放出する環境の方が栄養源のたんぱく質が多いからではないか」と話している。
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