[ITmedia News] Linuxカーネルの深刻な脆弱性「PwnEscape」(CVE-2026-99999) ゲストの仮想マシンからホスト側Linux OSに不正なコードを実行できる可能性
著者
新野淳一
[ITmedia]
悪意のある攻撃者がLinuxの仮想マシンを不正に操作することで、仮想マシンの境界を抜けてホスト側のLinux OSで不正なコードを実行できる可能性がある脆弱性「PwnEscape」(CVE-2026-99999)の情報が公開されています。
対象はLinuxカーネルで、脆弱性の深刻度を1から10の値で表すスコアは9.3で「Critical」(緊急)と非常に高くなっています。
PwnEscapeはLinuxカーネルのネットワーク処理の欠陥
PwnEscapeの技術的な内容については、セキュリティ専門家のメーリングリスト「Openwall」に投稿されたメール「linux kernel: PwnEscape: Guest-to-Host KVM Escape (CVE-2026-99999)」での解説が、CVEの公開情報の参照先として紹介されています。
このメーリングリストの内容によると、カーネルが検証済みのIPv4ヘッダーに対するチェックサム関連データが攻撃者によって書き換え可能な状態になっており、これによって検証済みのIPv4ヘッダーをチェックサムの代わりに書き換えることが可能となっていました。
これを利用して攻撃者はネットワーク処理における正常な処理を破壊し、通常では想定されないメモリ位置の読み書きを実現することが可能となります。研究環境ではこれによりホスト側Linux OSでのコード実行まで到達したと説明されています。
これはLinuxカーネルにおけるネットワーク処理の欠陥とされ、メーリングリストのタイトルでは「Guest-to-Host KVM Escape」とKVM環境が示されていますが、KVM以外のコンテナ環境などでも攻撃が成立すると考えられます。
このメールの中では、現時点でこの脆弱性による攻撃の可能性は研究環境で示されているのみですが、以下のように1カ月以内には有効な攻撃が登場するだろうと予測されています。
Although we suspect the security industry will use this post to figure out the other affected hypervisors and we expect exploits in weaker configurations to arrive in weeks, and exploits working in default hypervisor configurations to arrive in under a month.
セキュリティ業界はこのメールの情報を活用して、今回発見された以外のハイパーバイザへの影響なども見つけると思われます。そのうえで、より不十分な構成におけるエクスプロイトが数週間以内には登場し、さらにデフォルト構成のハイパーバイザで機能するエクスプロイトも1カ月以内に登場することが見込まれます。
利用しているサービスでの対応状況の確認を
特にLinux仮想マシンをサービスで提供しているサービス事業者は、悪意のある利用者がこの脆弱性を利用してゲストのLinux仮想マシンからホスト側へ抜け出し、他のユーザーやサービス事業者のシステムを攻撃する可能性があるため、早急な対策が必要となります。
記事執筆時点(2026年10月17日午後5時)では、日本国内ではさくらインターネットが、さくらのVPSやさくらのレンタルサーバを含む一部のサービスで新規申し込みを停止し、対策を開始していることが発表されています。
AWSもすでにこの脆弱性についての対応を発表しており、AWSのマネージドサービスでは影響を受けず、対策も必要ないと以下のように記しています。
AWS-managed compute and container services, including Amazon EC2 instances, AWS Lambda, and AWS Fargate, are not affected. There is no action required for customers using these services.
Amazon Linux 2ではすでに修正済みのアップデートがリリースされているとのことです。
VPSやレンタルサーバ、クラウドなどを通じてユーザーとしてLinux仮想マシンを利用している組織や個人は、この脆弱性によっていつの間にか攻撃を受ける可能性があります。サービス提供者が今回の脆弱性についてどのような対応をしているのか、確認したほうがよいと思われます。
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