簗農水相の更迭で見えた「近き憂い」、目先の課題に追われる高市政権が磨くべき「ポスト・トランプ」の先読み力 | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン

米中関係において「日本スルー」は珍しくない。それゆえ日本は独自の立ち位置を模索する必要がある(写真:Doug Mills/The New York Times)
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9月、高市早苗首相が行った内閣改造で永田町ウォッチャーが一様に驚いたのは、簗和生農林水産相人事であった──。
今回の組閣では自民党派閥の裏金問題への関与が認定された旧安倍派議員2人が初入閣した。その1人が簗氏で、2年前、役職停止6カ月の処分を受けた。
高市氏は記者会見で起用理由について、2024年と26年の衆議院議員選挙を経て「国民の審判を受けた」と説明した。しかし簗氏は今年2月の衆院選では、無所属新人の渡辺真太朗氏に敗れて比例復活で6選した経緯がある。厳密にいえば、「国民の審判」を受けていない。
いま永田町で何が起きているのか? 「政界の争点」を活写する週刊東洋経済のリレー連載。【金曜日更新】
さらに同性婚に強く反対し、LGBTについての過激発言「生物学的に自然に備わっている『種の保存』に背く」で知られる。高市首相とは保守的な思想信条が近く、簗氏が農政通であることを差し引いても、失言が懸念された。それゆえ答弁での失言・食言によって国会審議の中断を引き起こす第1候補になりうると、筆者が主宰するニュースレター『インサイドライン(9月25日号)』で警鐘を鳴らした。
簗氏は、選挙区内の市と町の道路予算を削減させた疑惑だけでなく、有権者のシャトルバス送迎、さらには運動員の買収疑惑まで噴き出し、10月14日夜になって辞表を提出した。予算削減の問題発言が報じられてから約2週間。高市氏は追い込まれて更迭した。だがその判断は遅すぎた。
ここで想起するのは、『論語』の衛霊公第十五にある「子曰(いわ)く、人にして遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り」である。
高市氏が長期政権を見据え、中長期的な政策の準備をしていないとはいわない。しかし実際はとかく目先の課題の処理に追われている。このままでは、やがて短期的な小さな事でつまずくと、いいたいのである。
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1947年生まれ。週刊誌記者を経て1981年からフリージャーナリストに。現在は国際政治経済情報誌『インサイドライン』の編集長。
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