初の「女性スルタン」誕生も 「男子継承」こだわらず―インドネシア・ジョクジャカルタ
インドネシア・ジョクジャカルタのスルタン(イスラム王侯)のハメンクブウォノ10世(手前右)とマンクブミ王女(同左)=2025年9月、ジョクジャカルタ(王宮のウェブサイトより・時事)
【ジャカルタ時事】270年余りにわたりスルタン(イスラム王侯)制度が続くインドネシアのジョクジャカルタ特別州。現スルタンのハメンクブウォノ10世(80)は「男子継承」の伝統を破り、長女に後を継がせる意向とみられている。日本の皇室を巡る議論と同様に賛否があるものの、将来的に初の女性スルタンが誕生する可能性がある。
同州では、ジョクジャカルタ王国が成立した1755年から10代にわたり王室が存続。州知事を兼ねる国内唯一のスルタンで、ハメンクブウォノ10世は2023年にジョクジャカルタを訪問された天皇陛下とも面会した。
これまでは男子が王位を継いできたが、ハメンクブウォノ10世は5人の娘のうち長女のマンクブミ王女(54)を後継者と位置付けているようだ。15年にはスルタンの称号から男性を示すとされる言葉を削除し、王位継承者に与えられてきた称号を長女に授けるなど、女性スルタン誕生に向けた準備を進めている。
ハメンクブウォノ10世の弟らは伝統を守るべきだと訴え、男子への王位継承を主張。現地メディアによると、長女に称号を授与する式典を欠席し、王家の祖先の墓を訪れてスルタンを批判するなど、「お家騒動」の様相を呈し、緊張関係が続いている。
「国は男女を区別していない。なぜ私が区別する必要があるのか」。ハメンクブウォノ10世は昨年10月、王宮で開かれたイベントでこう強調。家父長制的な伝統は過去のものだと語り、長女への王位継承の意思表明と受け止められた。
王室の問題に詳しいガジャマダ大講師のバユ・ダルディアス・クルニアディ氏は、長女が王位を継ぐ可能性はあるとしつつ、弟らが強硬に反対して対立が深まっていると指摘。「このままだと王位継承時の衝突は必至だ。政府が介入することになるかもしれない」と述べた。
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