中国で新たな出入国規定が施行 ハイテク覇権争い念頭、技術流出を阻止―日系企業など対応急ぐ
15日、中国・上海の浦東国際空港の国際線出発口
【北京、上海時事】中国で15日、国家戦略上の重要産業や技術を脅かす恐れがあれば、中国国民の出国を制限できる「出入国管理規定」が施行された。外国人の入国条項も厳格化。経済安全保障の観点から、国境をまたぐ「人の動き」を監視する。日系を含む人工知能(AI)や半導体関連などの企業は、技術者の出張やビザ(査証)の点検を急ぐ。
経済安保、「人の移動」も対象 出国管理強め技術保護―9月施行・中国
米国とのハイテク覇権争いが念頭にある。輸出管理や技術移転の法令に違反した中国人の出国を禁止。入国条項では、中国の対抗制裁対象者と「信頼できない企業」リスト掲載会社の関係者へのビザ発給や入国を拒める。中国人、外国人の出入国申請時に本人が保有する電子データの提示も要求できる。外国人の滞在・居留申請も対象だ。
施行初日の上海浦東国際空港では、新規定を知らせる掲示は見当たらず、普段と変わらぬ様子だった。ニュージーランドに向かう中国人男性は「詳しいことは分からない」と語った。
ただ、運用面では不透明感が残る。海外で違法行為をした中国人について、居住地の省政府にも出国禁止の決定権を新たに認めた。また、公職者や軍人の海外永住資格の不正取得も取り締まる。日中関係が冷え込む中、「国家安全」の解釈次第で地方裁量が広がりかねず、日系企業は「恣意(しい)的な判断」(機械大手)に身構える。
日本や台湾、韓国などの多国籍企業は、雇用契約の確認に加え、パソコンやスマートフォンの管理にも神経をとがらせる。日本貿易振興機構(ジェトロ)は情報提供を強化。国際法律事務所DLAパイパーは、日本駐在の社員が中国へ行った際の出国も懸念材料になるとみる。
中国ではSNSで「市民も出国しづらくなる」との情報が飛び交い、当局系サイトが10日に「新規定の誤読だ」と火消しを図った。一方、7月には対外投資への監督を強める規定も施行するなど、技術流出を阻止する法整備を進めてきた。ヒトやモノ、カネを含む越境活動を網羅的に捉える姿勢が鮮明だ。
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