[ITmedia ビジネスオンライン] AI活用で約2900時間削減した世田谷区、しかし「確認と修正の負担」増加 新たな課題どう対応?
生成AIを導入したのに定着しない、個人利用にとどまる、業務への組み込みが進まない――。AI活用を掲げる多くの組織が、こうした課題に直面している。これは自治体も同様だ。
生成AIツールを導入していた世田谷区では、職員の利用状況にばらつきがあり、初めて生成AIを使うことに戸惑う場面も多かったという。
そこで同区は、AIエージェント機能を備えた業務効率化ツール「Genspark」(ジェンスパーク)を導入し、効果を検証し始めた。日常業務の大きな割合を占める調査、情報収集、論点整理、各種資料や案内文の作成といった業務で、AIをどう利用し、どのような成果物を作れたのかを確認している。
世田谷区は、職員のAI活用をどのように広げようとしているのか。AI活用を通じて浮き彫りになった課題は何なのか。行政における生成AI利用の拡大に向けた取り組みについて、同区の深山翔氏(DX推進担当課システム支援/副係長)が語った。
本記事はアイスマイリーが8月26~27日に開催した「AI博覧会 Summer 2026」のセッション「AIは自治体業務に根付くのか―職員伴走と効果検証―」を基に構成。
そのAIは「繰り返し使えるか」「担当者が変わっても使えるか」
世田谷区は、今回の検証で3つのポイントを確認した。「職員個人が業務で使えるかどうか」「その業務で繰り返し使えるかどうか」「担当者が変わっても課の業務として使えるかどうか」である。
同区では以前から、米MicrosoftのクラウドAI基盤「Azure OpenAI Service」を使ってAI環境を独自に構築していたほか、同社の業務AIツール「Microsoft Copilot」を導入しているが、利用には課題があったという。特に、生成AIを初めて使う職員はどのような指示を出せばよいのか分からず、戸惑う声も多かった。
そこで、専門的な知識や高度なAIスキルがなくても、漠然とした指示から一定レベルの成果物を作成できるかどうかを確かめるため、Gensparkを採用し、検証に乗り出した。同ツールはAIエージェント機能を備えており、リサーチや資料作成などを得意とする。
検証では例えば、他の自治体の計画や公開されている基準、手順などをGensparkに読み込ませ、必要な情報の収集や論点・仮説の整理を行い、自業務の調査や計画策定にどこまで活用できるのか確認した。またGensparkの機能「AIドキュメント」「AIスライド」「AI画像生成」「AIデザイン生成」などを使い、庁内向けの説明資料やチラシ、広報物などを作成。資料の作成や体裁の調整といった業務をどこまで効率化できるかを検証した。
深山氏は「AIツールを導入したことで、文書作成はもちろん、その前後の資料の比較・整理や、体裁を整えるといった工程で時間を使っていることが分かった。ここをAIで効率化できるのは大きい」と話す。
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