ドイツ連邦情報局元長官が外国に情報を渡したスパイ容疑で逮捕


ハニング元長官は1998年12月から2005年11月まで、7年にわたってBNDの長官を務めたのち、2009年11月まで内務省事務次官を務め、退職後はコンサルタントをしていました。
ドイツ紙・Spiegelによると、ハニング元長官は在職中の部下だったマンフレート・D元事務局長を通じて機密指定の文書2000点以上を入手。文書をもとに調査報告書を作成していたとのこと。報告書は外国の諜報機関職員に宛てたもので、検察は具体的な国名を挙げていませんが、Spiegelはハニング元長官がアゼルバイジャンの諜報員から依頼を受けて作成したものである可能性を指摘しています。
情報がアゼルバイジャンに届いたかどうかも明らかではありませんが、ハニング元長官は2025年7月時点で「ドイツ・アゼルバイジャン・フォーラム」の理事会に在籍しており、アゼルバイジャンとつながりのある人物であることは確かです。
また、2010年以来、ハニング元長官に情報を渡していたとして、マンフレート・D元事務局長もスパイ容疑で逮捕されています。
なお、ハニング元長官の容疑が明らかになった発端は、実業家クリスティナ・ブロック氏を巡る訴訟です。
Former German spy chief August Hanning arrested on espionage charges
https://www.wionews.com/world/former-german-spy-chief-august-hanning-arrested-espionage-1791288041052
A steakhouse heir, Israeli spies and a cross-border abduction: the custody battle gripping Germany | Germany | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2025/jul/20/germany-christina-block-gerhard-delling-court-hamburg
ブロック氏はレストランチェーン「Block House」の創業家出身。2005年ごろに元銀行員で精肉店経営の男性と結婚し、4人の子どもがいましたが、2015年に離婚。ドイツ在住のブロック氏と、デンマーク在住の元夫との間で、下の子ども2人の親権を巡る国境を超えた争いが勃発しました。当初、子どもたちはブロック氏と一緒に住んでいましたが、2021年8月に元夫のもとを訪問して以降はデンマークで暮らすようになりました。
検察側の主張によると、ブロック氏はパートナーで元スポーツ解説者のゲルハルト・デリング氏らとともに子どもの奪還を計画。旧知の警備会社に依頼して、2023年の大晦日に子どもたちを奪い返したとのこと。この際、無理やりに連れ出したことで、悪質な児童誘拐や重傷害、不法監禁の罪に問われています。ブロック氏は「誘拐計画については一切知らなかった」と証言しています。
この一件で、誘拐計画に関与していたのがハニング元長官の関係する警備会社「System 360」と元イスラエル工作員で、検察によれば、ブロック氏は元夫をスパイして子どもたちを取りもどす方法を考えるために10万ユーロ(約1780万円)を支払ったとのこと。このつながりから、警察がSystem 360やハニング元長官の自宅への家宅捜索を行ったところ、2000件を越える機密文書が発見されたというわけです。
なお、ハニング元長官はブロック氏の子どもの誘拐事件について、関与を一貫して否定しています。一方で、スパイ容疑については弁護士からコメントが得られていないとのことです。
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