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Wednesday, October 28, 2026

[ITmedia Mobile] 5周年を迎えた「povo2.0」の次なる一手 多すぎるトッピングにAIが回答、海外キャリアとの共創も

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 KDDIは10月27日、東京・高輪で開催した「KDDI SUMMIT 2026」で、オンライン専用ブランド「povo」と海外のサブブランドを比べるセッション「世界povoサミット」を開催した。povoを運営するKDDI Digital Lifeの濱田達弥社長とKDDIグローバルコンシューマ本部長の秋山敏郎氏、本誌でもおなじみのモバイルジャーナリスト・石野純也氏が登壇し、フィリピン、インドネシア、香港のサブブランド責任者のビデオインタビューを交えて議論した。

世界povoサミット 「世界povoサミット」に登壇した、左からKDDIの秋山敏郎氏、モバイルジャーナリストの石野純也氏、KDDI Digital Lifeの濱田達弥社長

最小0.5GBから最大1.32TBまで、月額固定ではないトッピング

 povo2.0は2021年9月にサービスを開始し、9月で5周年を迎えた。KDDIはau、UQ mobile、povoの3ブランドで携帯電話事業を展開している。このうちpovoは月額固定の料金プランを持たず、基本料0円の回線に、データ容量や通話を「トッピング」として必要な分だけ買い足す仕組みだ。

 データのトッピングは容量と有効期間の組み合わせで提供しており、最小構成では月0.5GBを毎月自動で買い足すもの、大きいものは1年間有効の1.32TBまで幅広くそろえる。濱田氏はUQ mobileとの違いを「月額固定制ではないこと」と説明し、この両端の例を挙げた。

世界povoサミット povo2.0がサービスを開始してからの5年間の歩み

 povoの事業運営はKDDI Digital Lifeが別会社として担う。通信網はauのものを使うが、料金や機能の企画、アプリ、顧客対応はauやUQ mobileとは切り離して自前で回しており、メインブランドでは試しにくい新しいサービスを先に試す場になっている。濱田氏は運営の難しさを問われ、「アジリティやフレキシビリティをサービスに生かすには、開発力が非常に重要になる」と話した。毎週、毎月のように施策やサービスを追加し続ける開発体制が、povoの要だという。

世界povoサミット KDDI Digital Lifeの濱田達弥社長(右)

フィリピンのGOMO、インドネシアのby.U、香港の自由鳥

 セッションで取り上げた海外ブランドは、フィリピンのGlobeが手掛ける「GOMO」、インドネシアのTelkomselが手掛ける「by.U」、香港のSmarToneが手掛ける「自由鳥」だ。いずれも大手通信事業者がメインブランドとは別に立ち上げた、オンライン完結型のサブブランドだ。

世界povoサミット 各国の通信事業者が展開するモバイルサブブランド。日本のahamo、LINEMOも並ぶ

 3社の責任者はビデオインタビューで、それぞれ立ち上げ時の課題を語った。GOMOは顧客への価値を明確にすることに苦労し、顧客の声を起点に検証と学習を繰り返して改善を続けてきた。by.Uは新しいデジタル通信サービスへの信頼を得ることに課題があり、通信事業者の強みにデジタルネイティブな働き方を組み合わせて、顧客にはシンプルな体験を提供する方針を取った。自由鳥はメインブランドとの差別化に取り組み、サブブランドの側は契約に縛られない柔軟なデジタル体験を提供する役割だとした。

世界povoサミット GOMO、by.U、自由鳥が語った立ち上げ時の課題と取り組み

 秋山氏は3社とpovoの共通点を指摘し、なぜ各国で似た形になるのかを問うた。濱田氏は「デジタル化が高度に進み、新しい世代のライフスタイルのスピードとクオリティーが非常に上がっている。そこにキャッチアップし、自分たちでトレンドを作っていくには、身軽ですぐに動けるポジションが要る。大きなタンカーではなく、スピードボートのようなものだ」と答えた。石野氏は、国ごとに人口構成が違っても3社の話がpovoと変わらないとした上で、アジアでは若年層が多く、スマートフォンとネットワークに生活が依存している世代に共通点があるとの見方を示した。

世界povoサミット モバイルジャーナリストの石野純也氏

AIはトッピング選びのコンシェルジュに

 AIの使い方については、GOMOが先回りするパーソナライズ体験を前提に、信頼とプライバシー、透明性を重視する。by.UはAIで若者の学びや創造、成長を支援する実用的なツールを目指す。自由鳥は受け身の対応をやめ、ニーズを予測して一人一人に提案する顧客体験を目指す。秋山氏は、AI活用については業界全体のコンセンサスがまだできていないとまとめた。

世界povoサミット 3社が語ったAI活用の方向性

 povoは2025年7月にアプリ内で「povo AI」を始め、GPT-4oやPerplexity Sonar Proなどのモデルをpovo2.0ユーザーに無料で開放している。濱田氏によると、povoはAIを業務運営の最適化、顧客への提案やマーケット状況の把握、問い合わせへの応答に使っており、アプリ内のAIはチャット機能から始めて、裏側で動くモデルのバージョンを順次増やしてきた。

 ただし、汎用(はんよう)のAIアプリと比べられる形では勝負にならないとして、濱田氏はエンタメ性を加えた次の形を予告した。キャラクターがユーザーの「バディ」になり、日々のニュースやアドバイスをまとめて届けるサービスを、近く試験的に公開するという。

 濱田氏はAIをトッピング選びに使う構想も語った。「povoのトッピングのバリエーションはすごく多い。本当はもっと増やしたいくらいだが、増やせば増やすほど、どれを選べばいいのか分からなくなる。そこがコンシェルジュの出番だ」と話す。例として、旅行中の1週間、毎日1時間YouTubeを見たいという相談を挙げ、必要なデータ量を即答できる人はいないが、AIなら答えられると説明した。費用を抑えたいのか、データをもっと使いたいのかを聞きながら、AIが具体的なプランを勧める使い方を想定している。

ベトナムではpovoの名前を使わず、兄弟ブランドを年内に

 KDDIは3月10日にベトナムの大手通信事業者VNPT(ベトナム郵便電気通信グループ)と共同事業契約を結び、現地でモバイル通信のサブブランドを立ち上げる準備を進めている。濱田氏は「povoというブランドは使わないが、ほぼ同じようなモデルを作っていく。年内には市場でサービスをローンチできる」と述べ、新ブランドをpovoの兄弟分と呼んだ。

世界povoサミット KDDIとVNPTの共同事業契約の締結式。ベトナムで新しいサブブランドを立ち上げる

 VNPTの副社長はビデオメッセージで、セカンドブランドを築くにあたってpovoでのKDDIの成功に注目したと語った。VNPTは通信事業者からテクノロジー企業への変革を掲げており、新ブランドもその一環だ。

世界povoサミット KDDIとVNPTの協業内容。povoの知見を生かした新ブランドの創出などを掲げる

 石野氏は、通信事業者のVNPTに同じ通信事業者のKDDIが入ってブランドを作る組み合わせに興味を示し、VNPT単独でもできたのではないかと質問した。濱田氏は「日本は大手事業者もMVNOもプレイヤーが多い中で、povoは5年間成長を続けてきた。そこにVNPTが目をつけてくれた」とした上で、「日本で成功したものをそのままベトナムに持っていってうまくいくとは思っていない。現地の強みとわれわれのエッセンスを合わせて作っていく」と答えた。秋山氏は、仕様を詰めてから一斉に始める従来型の通信事業とは進め方が違うと補足し、povoの立ち上げを経験した人材をKDDI Digital Lifeからベトナムに送っていると明かした。

 濱田氏はセッションの締めくくりで、サブブランドを「弟分」と呼びつつ、「弟ならではの別の成長の仕方、別のバリューを顧客に提供して、市場全体を盛り上げていきたい」と話した。秋山氏は、各国のサブブランドが現地の取り組みや知見を交換し合う場を今後作りたいとしている。

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