Mozillaが企業や組織向けの有料ブラウザ管理・セキュリティプラットフォーム「Firefox Enterprise」を発表

Mozillaが2026年10月12日、企業や組織向けの有料ブラウザ管理・セキュリティプラットフォーム「Firefox Enterprise」を発表しました。Firefox Enterpriseはオープンソースのウェブブラウザ「Firefox」に組織向けの管理機能やセキュリティ機能を組み合わせたもので、企業が自社のインフラ上でブラウザの設定やデータの取り扱いを一元管理できることが特徴です。
Firefox Enterprise — Firefox.com
https://www.firefox.com/en-US/enterprise/
Introducing Firefox Enterprise
https://blog.mozilla.org/en/firefox/introducing-firefox-enterprise/
近年、企業では業務システムへのアクセスやファイルの共有、AIツールの利用など、さまざまな作業がウェブブラウザ上で行われています。一方、ブラウザを通じて機密情報が外部に流出したり、特定のIT企業の技術に依存したりするリスクも高まっています。Mozillaはこうした課題に対処するため、企業がブラウザの動作やデータの流れを管理できるFirefox Enterpriseを開発しました。
Firefox Enterpriseの最大の特徴は、管理システムを企業自身のインフラ上で運用できることです。クラウド上の外部サービスに管理を任せるのではなく、企業内のサーバーなどに管理コンソールを設置し、ブラウザの設定やアクセス権限、データの保存場所などを自社で管理できます。

またセキュリティ面では、ブラウザ上での機密情報の取り扱いを制限する「DLP(データ損失防止)」機能を搭載しています。例えば、特定のウェブサイトに機密情報を送信しようとした場合に警告を表示したり、操作そのものをブロックしたりできます。さらに従業員が利用できる拡張機能の制限、危険性の高いウェブサイトへのアクセス対策、ブラウザの操作履歴を既存のセキュリティ監視システムに送信する機能なども備えています。
そして、AIツールの利用を管理する機能も用意されています。管理者は組織の方針に応じてAIツールの利用を許可、制限、無効化することが可能です。これにより、従業員が外部のAIサービスに企業の機密情報を入力してしまうといったリスクへの対策を講じられます。

加えて、既存のID管理システムやセキュリティ監視システムとの連携にも対応しています。端末の状態やユーザーの権限に応じて社内システムへのアクセスを制御できるため、Mozillaは従来のVPNや仮想デスクトップなどへの依存を減らせると説明しています。
記事作成時点ではGoogleのChromiumをベースとしたブラウザが多く存在していますが、Firefox EnterpriseはFirefoxと同様にMozilla製ブラウザエンジン「Gecko」を採用しています。Mozillaは多くのブラウザが共通の技術基盤に依存していることを問題視しており、異なるエンジンを利用することで特定の技術に障害や脆弱(ぜいじゃく)性が見つかった場合の影響を抑えられるとしています。
Firefox Enterpriseはサブスクリプション方式の有料サービスで、Mozillaの専門スタッフによる技術サポートが標準で付属します。一方、通常のFirefoxは引き続き無料で利用でき、企業が既存のFirefoxに有料の技術サポートだけを追加することも可能です。Firefox Enterpriseの具体的な利用料金は公表されておらず、導入についてはMozillaへの問い合わせが必要です。
MozillaはFirefox Enterpriseをヨーロッパで展開し、まずフランス、ドイツ、オーストリア、スイスを重点的な販売対象としており、対象地域を拡大する予定です。また、メールソフト「Thunderbird」を組織内で一元管理できる「Thunderbird Enterprise」の開発も進めています。
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