医薬品原料を大腸菌で高速量産へ、合成生物学の大学発新興ファーメランタを生んだ「カンパニークリエーション」の実像 | ビジネス | 東洋経済オンライン

ファーメランタが石川県立大学内で稼働させた実証プラントと、同社の南博道技術顧問、柊崎庄吾CEO、中川明CTO(左から)(写真:ファーメランタ)
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石川県立大学(石川県野々市市)に6月、3000リットルの培養槽を持つ実証プラントができた。同大発のファーメランタは20種以上の外来遺伝子を1つの大腸菌に組み込み、医薬品原料など希少な植物成分をつくる。通常の栽培で1年かかる生産を2週間に縮め、天候に左右されず量産できて環境負荷も低い。プラントは大学の敷地内に、農林水産省の支援を受けて建てた。医療用鎮痛薬の原料となるアルカロイドでは、製造コストを植物からの抽出の10分の1程度に抑えられる可能性があるという。
同社は、研究者と起業家の意思を起点にVCが会社設立を支援するカンパニークリエーション(CC)で2022年に生まれた。きっかけは農水省のSBIR(中小企業技術革新制度)だ。同制度のプログラムマネジャーを務めるBeyond Next Ventures(ビヨンド・ネクスト・ベンチャーズ、BNV)の有馬暁澄パートナーが、南博道准教授(現教授、ファーメランタ技術顧問)と中川明准教授(現同社CTO)の研究に出会った。
有馬氏は「日本の強みを生かした高度な発酵生産技術に大きな可能性を感じた」と振り返る。その後、BNVの創業経営者育成プログラムであるILP(INNOVATION LEADERS PROGRAM)を通じ、起業を志す外資系証券出身の柊崎(ふきざき)庄吾氏(現CEO)と両氏を引き合わせた。
南氏は「起業ありきでSBIRに応募したわけではない」。良い経営者がいなければ起業しない考えだった。柊崎氏は理系出身ではないが、大学の教科書を読み込み、研究の深いところまで食らいついてきた。失敗しても戻る場所を残さず、本気で創業に臨む姿勢も示した。研究者の経営は「ハードルが高いというレベルではない。不可能だ」と言い切る中川氏は、その知性と本気度にひかれ、初対面で創業を決めた。
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きがわ ゆきのぶYukinobu Kigawa
1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車・物流業界を担当し、22年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集に携わる。24年7月から26年9月まで週刊東洋経済副編集長。26年10月から東洋経済編集部長。趣味はランニング、登山、旅行、読書。
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